カテゴリー別記事: ぞうき林

トキの島から

 国の文化財保護制度が広がっている。国宝や重要文化財は単体の指定だが、1975年からの重要伝統的建造物群保存地区は歴史的な集落や町並みが対象。2006年には重要文化的景観の選定が始まり、水郷や棚田、里山、漁村など全国51カ所に増えた▼新潟県佐渡市相川の鉱山町は15年の選定。江戸時代の手掘り跡「道遊の割戸」など鉱山遺跡と関連施設、佐渡奉行所跡、金銀山に引き寄せられた人々が暮らした町、物資の流通で栄えた町、寺社、街路、坂道、食料を供給した農漁村やため池、河川、積み出し港など約630ヘクタールにおよぶ▼地域の自然や地形を巧みに利用して暮らしてきた歴史を物語る景観は、身近で当たり前のようにある。それが世界文化遺産登録を目指す遺産群でもあるのだ。多様で広範囲な構成要素を、半端な観光資源ではなく文化財として、守り伝えていかなければならない▼その理念や手法を学ぼうと、建築業者や行政担当者らが来桐した。桐生伝建修習の会の案内で共に桐生新町地区を歩くと、建造物の修復が進む一方で風化や崩壊の危機も増していることを実感する。“意識の高い、先進地”という外聞を損なうことのないよう、何ができるか考えたい。(

誤作動の教え

 非番のきのう、自宅で高校野球を見ていたら、突然甲高い音が聞こえてきた。野鳥の鳴き声だろうと思っていたら、なんと階段付近の住宅用火災警報器(住警器)が作動していた▼住警器は2階の各部屋にもつけてあるが、作動したのは階段付近だけ。最初は電池切れだろうかとも思ったが、そうでもない。説明書などによると、ほこりや蒸気などでも作動することがあるらしい▼当時、台所では大きななべ二つでみそ用の大豆を煮ていて、湿度の高い状態に。が、数時間後、蒸気のない状態で再び作動。今度はほこりを除去してリセットしたら正常になった▼住警器は逃げ遅れを防ぐために、現在は新築・既存住宅を問わず設置が義務付けられている。桐生市消防本部が管内の一般住宅における住警器の設置状況を調査したところ、市火災予防条例に適合した住警器の設置率は68%で、約3割は未設置となっている▼また住警器の維持管理については、ほとんどの世帯で実施していなかったという。そのポイントは、(1)定期的に作動確認を行う(2)交換時期を確認する(3)電池切れを確認する―など。そういえば、わが家も一度もやっていなかった。ついでに消火器も備えたい。(

女性でにぎわう

 東京では数日前にサクラの開花宣言があり、花粉はつらいけどいい季節になってきた▼お隣の足利市では3月上旬から足利市立美術館で開かれている国重要文化財の刀「山姥切国広」の展示に「刀剣女子」や人気ゲーム「刀剣乱舞―ONLINE」ファンの20~30代を中心とした女性が全国から殺到。休日には入場制限がかかるほどの人気ぶり。主催の市も予想以上と驚く▼合わせて、まちなかを回遊してもらおうとスタンプラリーを実施したり、飲食店を中心とした協力店が同展に合わせた独自メニューを提供。行列ができる店もあり、連日「お祭りのよう」(関係者の話)。オリジナルのポストカードがもらえるスタンプラリーが好評で、ラリーポイントを回る女性でまちなかがにぎわう。加えて、この女性たちけっこうな量のお土産を買っていく。なので、まちなかにも自然と笑顔が増える▼取材のため女性たちに話しかけるのだが、心得たもので提言も含めてこちらが欲しいコメントをきちんとくれる。どれを使用しようかと迷うほどのハイレベル。開始から3週間もたつとリピーターもあり、コメントも変わるので、こちらも聞いてて楽しい。足利は〝満開〟状態だ。(

観察と確認

 毎月最終土曜の本紙に連載している「折々の鳥たち」の案内役である竹内寛さんから、日本野鳥の会群馬の会報をいただいた。3・4月号の特集はオオバンとバン。とりわけオオバンは最近、群馬県内への飛来数の増加が顕著で、会報でも竹内さんが阿左美沼での詳細な観察記録を紹介している▼琵琶湖のある滋賀県では以前からオオバンの県内越冬数を調べているが、その数はこの10年で4倍以上になったという。そういえば阿左美沼でもオオバンを見かける機会が増えたと感じてはいたが、竹内さんのまとめの中に裏付けとなる数値が示されており、感覚は間違っていなかったのだと納得がいく▼事実が確認できたらそこに新たな問いが生まれる。飛来するオオバンがなぜ、これほど増えたのか。オオバンはおもに中国の南部などで越冬するが、そこで冬を越しにくい理由が生じているのではないか。湿地のある開けた水面が失われているのか、えさとなる水草や昆虫が減ったのか▼「おやっ」と思ったら足を止め、じっくり観察してみる。事実が確認できたなら、その理由についても考えてみる。環境の変化に敏感な、小さな生き物の行動にこそ、学ぶべきものがある。忘れたくない心構えだ。(

異端の背景

 市議会での言動がたびたび問題視され、除名の議決を受けて失職していた海老根篤みどり市議が、復職することになった▼除名処分を取り消した県知事の審決をかみ砕くと、言動に問題があるとはいえ選挙で選ばれた議員の身分を剥奪するには相当に重い理由が必要であり、みどり市議会の除名処分は「議会の裁量権の範囲を逸脱または乱用したもの」と断じた▼市議会としては、同氏の言動が目に余るとして戒告や出席停止などの懲罰を重ねた末の除名だった。サッカーに例えれば度重なるイエローカードの末の“累積レッドカード”を切った格好。だが審決で重視されたのは、そんな経緯や議決の重みよりも「選挙の重み」だった▼思えばトランプ米大統領も、過激な発言が疑問視されながらも当選した。スケールや影響力は比べるべくもないが、みどり市における海老根氏の存在もどこか似ていないか▼“異端”の政治家を生む背景に通底しているのは多分、既存の政治への不信感。だとすれば、海老根氏を排除しようとした議会の側も問題がないと言えるのか▼今回の審決は、海老根氏を市議たらしめる「有権者の責任」も突きつけている。その意味で、全みどり市民が無関心ではいられない。(