カテゴリー別記事: ぞうき林

快適?な梅雨

 そりゃあ日なたは暑くて汗ばむけれど、日陰に入るとこれがずいぶんと涼しい。空気がちょっと冷たい。夜になると寒いくらいで、先月しまった掛けぶとんと毛布をまた出そうか出すまいか、毎晩のように悩む。それでいて、明け方にはふとんをどけてしまっていて、寝冷えしそうで目が覚めるような毎日。そんな今年の梅雨▼梅雨らしくないといえば梅雨らしくない。雨がさほど多くないので、雨具を用意するわずらわしさを感じない。じめじめして蒸し暑い、いつもの年より過ごしやすい気がする。快適といわれれば快適、なのかもしれない▼そんな生活を送っているせいか、いつもの梅雨の間、自分がどんなふうに暮らしていたか、思い返してみても思い出せない。じめじめして蒸し暑い梅雨のころ、どんな格好をして、何枚ふとんをかけて寝ていたのか、何をしていたのか。日記代わりの当欄の、去年の今ごろの分を読み返してみたが、特にこれといって季節的な動きはない。ああ、英国がEU離脱を決めて、自分の車は故障してたんだな、とは思い出したが▼書くほどではない当たり前の生活だったのだろうな、と思う。今回、「快適な梅雨」を書いた。やはり、当たり前ではないのだろうな。(

明け暮れに

 ベランダの朝顔が、植えて43日目から咲きだした。今朝は清々しく17も。変化朝顔で小ぶりな薄青色の花なので「おはよう」も小声。隣のフウセンカズラは手を取り合って伸び上がろうとしている仲良しもいる▼寝ぼけ眼での楽しみが増えた。夜は夜で、吾妻山のシルエットが闇に沈むころ、ベランダに居ながらにしてホタルの明滅を見下ろし、カエルの大合唱を面白がりながら、グラス片手に涼んでいる▼蒸し蒸しの梅雨や熱暑残暑のころまでは、やはり冷たいものがのどごしがよい。夏に熱燗も粋だけれど、昼日中、そば前なんぞがふさわしいように感じる。普段の手料理の夜は日本酒であれ赤ワインであれ、冷蔵庫から取り出すことになる▼桐生高校創立100周年を記念して同窓会みどり支部が仕込んだ祝い酒「山紫」は、完売という。酒米舞風を磨いて近藤酒造で醸造しラベルの揮毫は星野富弘さん。来る同窓会総会懇親会では冷えた四合瓶が並ぶ。ラベルだけでもほしいというファンには垂涎の的だ▼「山紫」も「花紫」の校歌も歌ったことはないが、この地の風土と人とが醸し出す絶妙の味わいは感じられる。山あいに響く命のうたは、かけがえなく染み入ってくる。(

雨乞いの季節

 梅雨入りからあすで3週間になるが、まとまった雨が降らない。桐生市の6月の降水量は平年の半分程度で、農作物などへの影響も懸念される。この傾向は渡良瀬川上流域も同様で、草木ダム貯水量の減少に伴い、23日から渡良瀬川からの10%取水制限が始まった▼同ダム流域の6月の降水量は20日までで43ミリと平年の5分の1程度だったが、21日に73ミリの降雨があり、貯水量は一時的に取水制限前まで回復したが、その後はまとまった雨に恵まれず再び減り続けている。ちなみに27日午前0時時点の貯水率は55%(平年の86%)まで低下している▼この減り方は、都市用水40%、農業用水60%と過去最大の取水制限となった21年前(1996年)に似ている。6月下旬から再び減り続け、8月にはみどり市大間々町高津戸地区で1週間以上も断水し、給水車が出動して急場をしのいだが、水洗トイレや洗濯機、シャワーが使えず、体調不良を訴える人も出たほか、畑や水田も干害に見舞われた▼気象庁は26日、7月上旬は一部を除いて全国的に気温が平年よりかなり高くなるとして異常天候早期警戒情報を発表した。悪夢のような事態が再来しないことを祈り、節水を心がけたい。(

厳しい世界

 桐生第一高校出身のプロ野球選手、オリックスの小島脩平選手が24日、プロ初本塁打を放った。春と夏の2回、甲子園取材の機会を与えてもらった者としてうれしいニュースだった▼初めて取材したのはもう13年も前。今季打撃が開花し、中日の正捕手争いの1番手に再び名乗りを上げた松井雅人捕手とは同級生。2人は1年生のころから試合に出場し、能力の高さを示していた▼高校卒業後は取材する機会はなかったが、桐一に進学した弟などから、変わらぬ野球への情熱と練習熱心すぎるエピソードを伝え聞き、大学、社会人を経てドラフトで指名をされた時も当然に感じた▼だが、どれほど真面目に練習しようとも1軍定着すら難しい厳しい世界。小島選手は6年目、松井捕手は8年目。「引退」の文字がちらつき始める中、この2人の活躍は本当にうれしい▼この日、対戦相手のロッテには藤岡貴裕投手が2軍から昇格していた。楽天のルシアノ・フェルナンド選手もそうだが、現在、プロにいる桐一出身者はみな最終学年での夏の甲子園出場を逃している▼夏の大会の勝敗は個々の実力を足しただけでは計れないものがある。今年の開幕は7月8日。どんな熱戦が待っているのだろう。(

研ぎの効能

 刃物の店で取材をした後、砥石を一つ購入した。店主から研ぎ方を教わる。砥石に水分を含ませ、利き腕の右手で柄を持ち、刃を45度傾けて研ぐ。右手でコントロールし、左手は刃の上に添えるだけ▼均等に研いだら、包丁を裏返し、今度は刃を90度の角度で当てて研ぐ。刃を立てれば先端が丸みを帯びてしまい、切れ味が出ない。薄い角度でできるだけ丁寧に、一定のリズムを刻む▼そんな模範演技を脳裏に焼き付け、持ち帰った砥石で再現してみる。しばらく研いでいると、刃の表面にこまやかな線がうっすらと刻まれ、銀色の輝きがよみがえってくる。二つの面を研ぎ終え、夏野菜に刃を当てる▼トマトの表面にすうっと刃が入り、きれいな断面があらわれた。カットするたびに、暮らしの中で抱えていたストレスが浄化されていくようで心地がいい。包丁の切れ味ひとつでこんなに気分が変わるものかと驚いた▼店主によれば、預かった包丁は、粗削りから仕上げの磨きまで、6段階もの工程を踏んで研ぎ込むのだという。こちらはわずか1工程。しっかり仕上げたいのならプロに頼むのが一番だが、自分で磨くのもまた楽しい。ものへの愛着を深めつつ、きょうも夏野菜をいただく。(