カテゴリー別記事: ぞうき林

肝の話

 竜宮の乙姫さまが病気になり、「サルの生き肝を食べればよくなる」と言われてカメがサルを陸から連れてくるというのは昔話。肝というと内臓全般、特に肝臓を指したりするが、レバーには独特のくさみと食感があり、人によって好き嫌いが分かれそうだ。筆者も苦手で今まで何度挑戦しても食べられなかったが、なぜか自発的に食べたいと思うようになり、今年挑戦したらおいしく感じられた▼最近体が疲れやすかった。世間話で「肝臓が疲れていると体も疲れやすくなるよ」と聞き、自分の肝臓が欲していたのかなと思った▼なぜ肝臓を食べると肝臓にいいのかというと、鉄分やビタミンがいいようだ。独特のくさみは牛乳に漬け込むなどの血抜きの下処理をしっかりすると食べやすくなる▼肝臓は最大の臓器で多機能だが、病気の自覚症状が出にくいため沈黙の臓器だと言われる。一方で、肝を使った言葉は昔からある。驚いてヒヤリとしたときは「肝を冷やす」で本当に腹のあたりがひんやりした感じになる。心に深く刻み付けるように記憶して忘れない「肝に銘ずる」では、記憶は脳なのに肝の方が気持ちにしっくりくる気がする▼健康で人生を楽しむために「肝心要」の肝臓を大切に。(里)

因果関係

 会社に出勤すると、社内にある固定電話の時計の多くに狂いが生じていた。どれもぴったり1時間、前に進んでいる。さては太陽フレアのせいなのかと勘ぐったのだが、その原因を特定するとなると、これはなかなか難しい▼例えば、同じような現象が会社に限らず、ほかの施設や家庭でも発生しているとなれば、もしかしたら共通した原因があるのかもしれず、太陽フレアもその一因として考えられるのだろうが、自分のところだけでは心もとない。そう思って周囲はどんな状況なのかといろいろ問い合わせてみたのだが、「やっぱりそうか」とはならず、もやもやが残った▼「言われてみると、10分ほど時計の時刻がずれていますね」。ある施設ではそんな証言にも出合ったのだが、電話の時計の時刻など日ごろ気にしているわけではないので、さて、いつずれたものなのか、なかなか分からない。昨日からかもしれないし、もっと前からかもしれないしと、ぼんやりとしている▼なにか事が起これば都合のいいように解釈し、何かのせいにしたくなる。気持ちは分かるが、単純な因果関係など社会の中には多くない。分かりにくいものは分からないままに受け止める。大事なことかもしれない。(

市民と議会改革

 「月36万円の報酬から所得税と住民税が引かれ、国保税や年金料を払うと、手取りは月20万そこそこ。専業でやるのは厳しい」。みどり市議の一人はそうつぶやく▼年432万円の報酬に年4カ月強のボーナスを加えた約600万円が、みどり市議の年収だ。手取り額はざっと330万円前後か。市民の血税で賄っているこの額を高いとみるか安いとみるかは、やはり仕事ぶりによるだろう▼みどり市議会が、定数を2人減らして18人にし、月1万円の政務活動費を廃止する改革案をまとめた▼政活費は議員が政治活動に使うべき経費だが、使い道をめぐる不祥事が全国で相次いでいることから、これを廃止する方針。代わりに、立候補への意欲を喚起しようと、報酬の引き上げを視野に入れた見直しも提案した▼この改革案に対し、市民の意見公募(パブリックコメント)が近く実施される。「定数はもっと少なくていい」「報酬は半分にしろ」といった厳しい意見も出そうだが、ここは乱暴な意見や感情的な議論でなく、じっくりていねいに考えたい。議員の役割とは何か、定数や報酬はどうあるべきか、市民一人ひとりが考える絶好のチャンスである。無責任な批判だけでは、まちは変わらない。(

一つの健康

 少しずつ、本当に些細なことだけれど「健康」を意識する。まずは水分を取ること。朝起きて、ぬるめの白湯をおなかにおさめて、そこから夜寝るまでに常温の水と白湯で1・5リットルほど摂取する。コーヒーはカウント外▼野菜を中心にバランスよく食べること。おやつの「食べる煮干し」はカルシウム摂取も兼ねていて、ぼりぼりかんでいるとだしの味もして具合がいい▼おっくうがらないで歩くこと。近場のコンビニやスーパーはできるだけ徒歩で行く。10階までは階段を使う。足りないなと思ったら散歩をする▼こうやって思いつくままにつらつら挙げてみると、本当に小さく細かい制限ばかりで息苦しそうな気がする。めんどくさい気がする。けれど結構楽しんでいて、毎日ゲーム感覚だ▼クリアできる日とできない日があって、どちらにしろ気にしない。クリアできた日はちょっとした達成感があってうれしいし、できなかった日は誘惑に駆られて不摂生を楽しんだわけだから、それはそれでいい▼のんびり楽しみながら、少しだけ丁寧に生活し、ゆるやかに健康に目を向ける。大したことをしていなくても「健康に近づいてるな」と前向きに満足することも、一つの健康なのだ。(

1594日

 成長曲線という言葉がある。が、必ずしも曲線とは限らない。とあるスポーツチームで、コーチのお手伝いがてら、小学生たちと接していて、常々抱く偽らざる実感だ▼練習すれば練習した分だけ、右肩上がりで成長していく―。そうなれば分かりやすいが、実際にはその逆がほとんど。一生懸命に努力をしても、成果はなかなか表れない▼しかし、努力を続ける子には必ず、急成長する瞬間が訪れる。成長曲線で言えば、真横に伸びる長い線が、突然真上に跳ね上がる。曲線というより階段状。その瞬間がいつ来るかは分からないが、続けている限り必ず訪れるのは確かだ▼陸上男子100メートルの桐生祥秀選手が9日、日本選手初の9秒台を記録した。新勢力が次々と台頭した6月の日本選手権に敗れ、8月の世界選手権で個人種目の出場を逃した直後。17歳で10秒01を記録してから1594日、真横に伸びた線は突然真上に跳ね上がった▼実は不器用だと聞くと、どことなく親近感がわく。「時間がかかるけど、一生懸命やってできるようになったら忘れない。そこが強み」とは本人談。伸び悩んだ先には必ず、急成長が待っている。応援したくなる理由は、決して名前だけではない。(