カテゴリー別記事: ぞうき林

美術館・図書館

 東武太田駅北口に新しい文化施設が開館した。太田市美術館・図書館だ。ロゴ問題に続いて愛称「おおたBITO」も使用を断念したため長い正式名称で呼ぶしかないが、施設自体はお役所的でなく明るく開放的。周囲や屋上の植栽が根付き芽吹くように、これから成長していくのだろう▼開館記念展は「未来への狼火」。美術館展示室は1階から3階まで。狭さは否めないが、さざえ堂のように右まわり3回の巡礼か、外階段やスロープをたどると二重らせん構造か。初見では玄室を内蔵する円墳のようにも感じられた。建築そのものが面白い▼図書館スペースとの融通性もあり踊り場や行き止まり部分や外のデッキなど各所におしゃれな椅子が置かれ、だれもがゆったり過ごせる。制服姿の高校生が参考書を開いていたり、風に吹かれながら散策して伸びをする中高年、絵本を囲む子ら、待ち合わせの若者たちも▼駅も新しくなって、荒廃感強い南口とSUBARU御殿そびえる北口、シュールな対比の周辺がどう変貌するかもお楽しみ。人ごとのようなのは、新図書館の貸し出しは太田市在住在勤在学者に限られるから。書棚が埋まるころには既存館同様、県内両毛にも広がるといいな。(

火の用心

 「火の用心 ことばを形に 習慣に」。先ごろ発表された、今年度の全国統一防火標語である。子供のころからよく見聞きする、耳にたこの言葉だが、注意を怠って火災になるケースが後を絶たない現実に警鐘を鳴らしている▼桐生市消防本部によると、管内で昨年発生した火災の原因1位はたばことたき火で、それぞれ7件。3位は放火・放火の疑い(6件)だが、4位にもこんろ(4件)がランクイン。たばこ、たき火、こんろの不注意による出火は全体の3割弱を占めたことになる▼今年の火災は26日現在で19件に上るが、うち野火などの「その他火災」が約半数の9件を占めている。多くはたばこの投げ捨てやたき火が原因とみられ、その責任は重い▼同本部は、たばこの投げ捨てをしないのはもちろん、必ず灰皿のある場所で吸う、灰皿は常に水を入れ、その場を離れるときは火を消す、吸い殻は水をかけてから捨てる、寝たばこは絶対にしない、廃棄物の屋外焼却はしない―を呼びかけている▼つけ加えるなら、火災予防だけでなく、環境美化のためにも吸い殻を捨てないことが一番いいわけで、街でも山でも携帯用の吸い殻入れを持ち歩いてもらいたいものだ。(

初めての御朱印

 先日、鎌倉の旅に御朱印帳を持参した。約1年前、富士山本宮浅間大社で初めて手に入れたもの。なかなか機会がなかったが、今回は5寺社で御朱印をいただくことができた▼御朱印の存在を知ったのは高校の修学旅行。友人の一人が集めていた。しかし、深く知ることはなく、大人になった。あれから二十数年。夏休みには「行ったことのない県巡り」を繰り返してきた。もう少し早く始めていたらと思うが後の祭りである▼もともとは納経の証しとして、現代では多くが参詣の証しとして授与される御朱印。ブームとは聞いていたが、観光客でごった返す鎌倉大仏の高徳院や長谷寺はもとより、極楽寺などでも御朱印を求める人がひっきりなしに現れ、それを実感する。勝手が分からずどぎまぎする記者の脇を若い女性たちがスマートに次々通り過ぎていった▼旅から戻り、御朱印帳を開くと、寺社の風景が浮かんでくる。いい旅の記録となった。御霊神社では七福神巡り用の別の御朱印があると恥ずかしながら現地で知った。御朱印集めはスタンプラリーではないというが再訪する動機のひとつになるだろう▼桐生でも宝徳寺のアート御朱印が人気と聞く。まずは足もとから見つめ直すのがいいか。(

次につなげる

 山の緑が“初夏色”になってきた。汗ばむ日もしばしば▼足利担当として先月も本欄で話題とした国重要文化財の刀を展示した「山姥切国広展」。このほど、その実施結果を足利市がまとめた。3月4日から4月2日までの間、足利市立美術館を会場に実施。入場者は3万7820人。前年度の同美術館の入館者数が2万4885人というから、わずか1カ月で前年度1年分の約1・5倍をたたき出したことになる。経済効果は宿泊、飲食、物品購入、交通費などで約4億2000万円という▼約3500サンプルを集めた来場者アンケートではこの特別展について「非常によい」が最も多く81・5%、「良い」を加えると約98%が「満足した」という結果となったから驚きだ。その理由は「市民のみなさんがあたたかく迎えてくれた」「工夫を凝らして快適に過ごせるようにしてくれた」との感想をみると理解できる▼背景には入念な準備や開催期間の臨機応変な対応など、関係者の工夫や努力があったからだと思う。かかわった人にとってもこれから仕事をしていく上での財産になったに違いない。ここでの経験を次にどうつなげていくか同市では検証をしているようだ。(

ゆだねる感覚

 春の植樹デーで足尾に出向いた。植樹地まで700段の階段を上る。これが一つの難関だが、標高が増すごとに広がる谷の眺望に目を奪われ、疲れを忘れる▼ここ数年、特に感じるのは若い世代の参加が増えていること。学校単位での参加も多く、2005年に足尾高校と日光高校が統合して誕生した日光明峰高校の生徒が、ボランティアできびきびと動けば、宇都宮や佐野、小山などの高校生がスコップを手に苗を植えている▼その一方、元気な高齢者の姿も多い。80歳の記念に参加したという女性は、周囲からの祝福を受けてほほ笑みながら、青空の下で気持ちのいい風を受けていた。年に1度、以前自分が植えた木を見に来るという人も多く、獣害で苗木を食べられたという男性は、いずれ成長する木もあるはずと、めげずに植樹をしていた▼人の取り組みには限界がある。一生懸命に苗木を植えたら、あとは自然の手にゆだねる。人の手には負えない部分があることを、わきまえることの大切さ。外側に向けて開いてゆく感覚こそ、この取り組みが長続きするポイントなのではないか▼思い通りにいかないからこそおもしろいし、また来ようと思う。参加するたびに気づかされる教訓である。(