カテゴリー別記事: ぞうき林

終わってみて

 ここ数日、暑かった。きょうはいくぶん過ごしやすそうだが、気象庁の3カ月予報では今年も7月、8月の気温は高めということで、今から気が滅入る▼先日、民間気象会社ウェザーニュースが今シーズンの花粉症について「かなりつらかった」と回答した人が23・6%で、昨年と比べ2・6%も増えたとするアンケート調査結果を発表した(22日本紙掲載)▼加えて発症期間が例年と比べて「長かった」と回答した人も41%もいた。回答は約29500人から得たという▼実際、自分を含め、周囲の〝花粉症持ち〟からも「きょうも、ひどいね。たくさん飛んでる」「朝、目があかなかった」との会話を連日交わしていたような気がする▼スギ花粉はもちろんだが、今年はヒノキ花粉が超攻撃的で、例年にはない症状「咳き込む」が出た。早めに薬を飲み始めたが勝てず、毎日マスク▼シーズン前には、さまざまなメディアから、花粉症とさよならする体質改善などの情報が発信される。実際に試してみて効果があったという人も身近にいる一方、今シーズンから花粉症になったという人も▼終わってみれば、その苦しみを忘れてしまうのだが、こんなデータをみると早くも来年が気になる。(ほ)

おいしさ

 料理店で食べた米ナスの味が忘れられず、わが家で挑戦してみた。ナスを焼いたら皮をはぎ、だし汁にしょうゆ、酒、みりんなどでつくった漬け汁に浸して冷ます。結果、味はまずまずなのだが、店で食べた料理のうまさからはほど遠い▼おいしいと思ったらまねてみることは基本で、もう一つ、コーヒーのドリップについても、ある喫茶店のマスターの作法を眺め、それを実行している。これまでのやり方から、少し変えるだけなのに、味が変わってしまうから不思議▼先日、群馬大学理工学部で開かれた未来創生塾の味覚実験を取材したが、そのとき、ニンジン嫌いな男の子が、「鼻をつまみ、すりおろしたニンジンを食べたら、味が分からずに食べられた」と話していた。もちろんそれは「おいしい」という次元ではないが、「食べられた」という喜びが、子どもにはある▼私たちはいったい何をもって「おいしい」と思うのだろう。宝田恭之教授は、甘味、酸味、塩味、苦味、それにうま味のバランスだけでなく、食感、見た目、香り、温度、親しい人との会話、食卓の環境など、構成要素は多彩だという▼だとすれば、料理の腕はさておき、改善できる要素はありそう。希望がわいてくる。(け)

1万の重み

 「香取さんならきょうはまだ登ってないよ」「香取さんはもう下ったよ」―。吾妻山に登っている人なら、誰に話しかけてもだいたい知っている。本人は決して目立ちたがりではないのだが、登場する数があまりに多いのと、誰にでも気さくな笑顔をふりまくから、いつしか有名人になってしまった▼そんな香取逸夫さん(76)がきのう午前7時すぎ、吾妻山に「1万回目」の登頂を果たした。どこからともなくそれを聞きつけた愛好家仲間数人も一緒に登り、用意のいい佐藤功さんがノンアルコールビールを持参して、山頂はちょっとした祝賀会場となった▼足かけ30年間、ここ数年は1日2回、年間400回以上のペースで登り、積み重ねてきた数字。本人は「たいしたことじゃないんですよ」と繰り返すけれど、一つのことを地道に続けることの偉大さはすごいとしか言いようがない▼「そりゃ、剱岳や槍ケ岳にも行ってみたかったけれど、店がありましたからね…」。本当は北アルプスの名峰にも挑みたかったが、73歳まで経営した眼鏡店を休むわけにはいかなかったと本音も漏らす。だが、吾妻山登頂記録の最高峰を打ち立てたその偉業は、百名山制覇よりも立派だと、個人的には思う。(成)

女性がいてこそ

 「母とか姉とか家族に、この勲章を見せられなかったのは心残りですが…」。カナダ最大の商業都市トロントで旅行会社などを起こして成功した桐生市出身の松本眞一郎さん(71)。さきごろ東京で開かれた叙勲祝賀会のあいさつの冒頭、そう語った▼姉・芳枝さんは群馬交響楽団の首席指揮者をつとめた沼尻竜典さんの母。6年前、母の待つ天国に旅立ったという。「芳枝さんは、桐生をPRする市の観光大使も務めるほどふるさとを愛していたわ」。二人をよく知る桐生在住の経営者はそう話してくれた▼眞一郎さんは「勲章は、家内の瀬戸山久子がもらったようなもの」とも語った。デザイナーでもある久子さんと二人で事業を拡大し、現地の日系社会の発展にも貢献。日本のトロント総領事館の改築時には、自宅を総領事館として貸したという話も披露され、出席した複数の元総領事らは「ちゃこさんがいたからでしょうね」と久子さんを愛称で呼びながら、異口同音に“2人の功績”をたたえた▼久子さんは、自宅の引っ越し中に小さな着物を発見したことを話した。「眞一郎、六カ月と書かれていました。お母さまの愛情を感じました」。当たり前だが、女性がいてこそ、男は輝く。(な)

不審者疑惑

 社名付きの看板車で回っていると、地元のありがたさを実感する▼「タイムスさん、こっち止めなよ」。親戚のような笑顔で誘導する駐車場係のおじちゃん。「けさの火事はどの辺だったん?」。コンビニの駐車場で前置きなしに雑談するおばちゃん。自分とは面識のない人たちが、看板車に親しみを感じて声をかけてくれる▼道路走行中や信号待ちも油断は禁物。笑顔で手を振られたので、停車して駆け寄ったら、初対面の人からの取材依頼だった。そんな経験も1度や2度ではない。紙面批判をいただくこともあるが、最後には必ず叱咤激励のニュアンス。それだけ応援してくれていると思うと励みになる▼先日、不審な訪問販売業者が来たという市内の80代女性を訪ねた。世間話を装い投資話をもちかける手口を取材。が、なぜか話が弾まない。「看板車に積んである脚立は何用ですか」と突然の逆質問▼不法侵入用ではなく、高所からの写真撮影用で…と説明しながら気づく。記者をかたる不審者だと疑われたらしい。名刺だけでは足りなかったかと、あわてて社員証を提示して納得してもらった。初の不審者疑惑。看板車に甘えてはいけないと反省した。(針)