カテゴリー別記事: ぞうき林

解消法

 広ーい湯船の真ん中で、ぬるーい湯につかって、ふわふわと漂いながら、見上げる青い空。風が出ているのか、雲がすじのように流れ始めた。庭木のサルスベリの花は開きはじめ、シオカラトンボがあっちへこっちへすいすい飛んでいる。ああ、夏の夕暮れ▼年に何度か、平日の休みの日、日帰り入浴施設の露天風呂へ行きたくなる。なんともいえぬ、のんびりとした時間と空間を味わう。ひとしきり、だらーっとした後は、鼻の中がヒリヒリ焼けそうなサウナで玉の汗を流して、きゅっと引き締める。ストレスがすーっと消えていく▼帰りに元工場に寄ってビリヤードして、自宅では扇風機の風を浴びながらベッドに転がり、沖縄民謡やらビーチボーイズやらを聞きながら、ゲームしたり本を読んだりDVDを見たり猫と遊んだり。これまたストレスがすーっと消えていく▼仕事だったり人間関係だったり、日常生活を送るというのはストレスをためることでもある。解消する手段は人それぞれだろうが、自分自身、その選択肢がたくさんあるのはいいなと思う。一つがだめでも別のがあれば、どうにか解消できるし▼いろんなことに興味を持つのは、やっぱり悪いことではないな。(篤)

異文化を多彩に

 畏敬するロシア語通訳者でエッセイスト、米原万里さんの文章が、折々脈絡なく脳裏によみがえることがある。桐生市市民文化会館の4階にいるときとか、TPP交渉に関するラジオニュースが流れてきて、先日は群馬大学理工学部の交換留学生と対面していて…▼6カ国語が飛び交う国際会議の経験などないが、彼女が存命中の先進国首脳会議では、英・仏・独・伊・露語は直接それぞれの言語に訳されるのに対し、日本語はまず英語に翻訳された上で他の言語に訳されたという。常に英語的フィルターを通してしか世界と対話しないなんて、属国のようだ▼かつて漢字を取り入れ、鎖国時代は蘭学が進歩的で、明治には国語を英語にするか、仏語かエスペラント語か。ローマ字化も提起された。母語を捨てようなんて他国では信じられないだろうが、いまの世は英語化を国際化とのたまう▼日本人の英語がいちばん通じるのはドイツ人だという説がある。インド人が言い張る言葉が分からず発音記号で理解し、フランス人の頻発した単語をモノを見て了解し、タイ人の表現は前後の文脈で類推したり、英語にもお国なまりがあるのだ▼だから異文化コミュニケーションは面白い。(流)

渇水要注意

 まとまった雨が降らない。桐生市の7月の降水量は16日現在で28・5ミリ。これは平年の6分の1で、1976年以降のアメダス観測史上最も少なかった2004年の53ミリを更新するかもしれない記録的な少雨である▼これに伴い、渡良瀬川上流の草木ダムの貯水量は再び減り続け、17日午前9時現在の貯水率は夏期制限容量の66・9%(満水時の40%)まで低下している。このまままとまった降雨がなければ渡良瀬川の取水制限(現行10%)の強化は避けられまい▼10%取水制限は草木ダムの貯水率が満水時の5割を切ったことから、6月21日から実施されている。貯水状況はその後の降雨で取水制限前の水準に回復したが、7月に入ってからの少雨で再び減り続けているのだ▼この減り方は、都市用水40%、農業用水60%の取水制限で断水や干ばつに見舞われた17年前(1996年)に酷似している。あの時、高台では1週間以上も断水し、給水車が出動して急場をしのいだが、水洗トイレや洗濯機、シャワーが使えず、体調不良を訴える人も出た▼猛暑は一服したが、あす以降は再び最高気温30度以上の日が続く見込みだ。悪夢のような事態が再び起きなければいいのだが。(ま)

夏の風物詩

 テレビ朝日系「熱闘甲子園」でキャスターを務めてきた長島三奈さんが今夏で番組を卒業するという。1998年の第80回大会にスタートし、休職した2000年を除き、15回目の夏、第95回記念大会という節目に決意したそうだ▼野球界の大スター長嶋茂雄氏の次女。当初はどうしてもそこに注目が集まった。1999年の第81回大会。記者も桐生第一が全国優勝した際に取材会場で見かけ、「あれが」とつい好奇の目で見てしまった▼それでも地方大会を精力的に取材する真摯(しんし)な姿勢が評価を高めていった長島さん。あの柔らかな語りが聞けなくなるのは残念だ▼今夏、桐生勢は樹徳をのぞく7校が3回戦までに姿を消した。球場では他社の記者から「どうしたんですか桐生勢」と心配の声をかけられている。「こんな年もあるさ」と思っていたが、4回戦に2校以上進出できなかったのは1993年、桐生第一が初優勝をとげた第75回大会以来と判明。その後は5校がベスト16入りした幸せな年もあった。組み合わせもあるが、この20年の方がまれなことだったのかもしれない▼果たして今夏、最後という長島三奈さんに甲子園でお目にかかることはできるだろうか。(野)

矛盾だらけ

 参院選の取材などしていると、憲法をめぐっていろんな「矛盾」があることに気づく▼国論を二分する憲法問題にわざわざ触れるのは得策でないとの判断か、自民党はあまり憲法に触れない。一方、野党は必ず「平和憲法を守ろう」などと主張している▼自民党はまず96条を変えて改憲へのハードルを下げ、その後9条を変えて自衛隊を軍隊と位置づけることなどを目指している。その言い分は▽占領下に押し付けられた現行憲法を自主憲法にしたい▽主権国家として外敵から国を守る軍隊を持つのは当然▽集団的自衛や国際貢献に必要―などだ▼といいつつ、日米同盟を最重視するのは一種の矛盾である。なぜなら、9条と自衛隊は(善悪は別として)米国による戦後日本の無害化戦略であり、日本が自主憲法や軍隊をもつことを(善悪は別として)米国が黙っているはずがないからだ。日米同盟を当てにしつつ主権国家として格好をつけたいというのは、ムシのよい話だ▼もとより9条と自衛隊は矛盾した存在である。その矛盾がブレーキとなって、戦後60年以上にわたり日本は外国で軍事的に人を殺していない。この事実は、矛盾を解消すること以上に大切な「実績」だと思うのだが。(成)