カテゴリー別記事: ぞうき林

いざ、鎌倉

 桐生、みどり両市の小学6年生が次々と鎌倉を訪れている。幕府の一大事にはせ参じた時代とは違い、いまはいたって平和な、修学旅行。社会で鎌倉時代を勉強する時期、「武家の古都」を体で味わう機会になっているだろうか▼その「鎌倉」、地元自治体は世界文化遺産への推薦を取り下げるよう政府に求めた。来月プノンペンで開かれるユネスコ世界遺産委員会を前に、正式審議を免れる形だ。諮問機関が「不記載」を勧告した以上、逆転は困難。しかし撤退ではなく再挑戦のためという▼世界遺産登録の国内暫定リストのうち、鎌倉は彦根城と並んで20年以上の古株だ。「不記載が適当」。日本政府が推薦した文化遺産でこの最低の評価は初めてで、正式に否定されると再推薦できなくなる。石見銀山や平泉よりずっと厳しい判断なのだ▼国内では十分に有名な観光地。来日した外国人ビジネスマンをまず接待するのにも好都合とか。次に控える「富岡製糸場と絹産業遺産群」は地味ながら堅実な近代化遺産で、鎌倉の退避に安堵していることだろう▼やや猫背ながら美男におわす、謎の多い大仏さんや、古都保存法の立役者となった鎌倉文士の旧宅など、ふらりと訪ねてみたくなった。(流)

ぶら散

 日の出が早くなったせいだろうか、自分も含めて早起きの人が増えてきたような気が、散歩をしていてするこのごろである▼こちらは飼っている犬の健康管理上やむを得ず日課になっているのだが。ぶらぶら歩いていると、同じように犬のお供の人や黙々とウオーキングに励む人、農作業をする人、花壇の手入れをする人、はたまた神社境内の清掃をする人などなど、始動スタイルも実にさまざまであることに気づかされる▼散歩といえば、ブームなのだろうか芸能人がぶらぶらまちを散歩する「ぶら散番組」が多くなったような気がする。かつては散歩番組の火付け役となったとされる「ちい散歩」をよく見ていた。都内近郊のスポットを今は亡き地井武男さんが訪れ、その土地の店に立ち寄ったりして交流を深めながらまちの紹介をしていく、あれだ▼それに代わって、最近は「モヤモヤさまぁ〜ず2」や「鶴瓶の家族に乾杯」などを見るようになった。マイナーな場所にスポットを当てるだけでなく、シナリオ化されていない、ぶっつけ本番感が面白い。地方ロケが多く、当地もゆるさでは名人級のさまぁ〜ずや笑福亭鶴瓶に紹介してもらえたら、いいPRになるかもしれない。(ま)

終わってみて

 ここ数日、暑かった。きょうはいくぶん過ごしやすそうだが、気象庁の3カ月予報では今年も7月、8月の気温は高めということで、今から気が滅入る▼先日、民間気象会社ウェザーニュースが今シーズンの花粉症について「かなりつらかった」と回答した人が23・6%で、昨年と比べ2・6%も増えたとするアンケート調査結果を発表した(22日本紙掲載)▼加えて発症期間が例年と比べて「長かった」と回答した人も41%もいた。回答は約29500人から得たという▼実際、自分を含め、周囲の〝花粉症持ち〟からも「きょうも、ひどいね。たくさん飛んでる」「朝、目があかなかった」との会話を連日交わしていたような気がする▼スギ花粉はもちろんだが、今年はヒノキ花粉が超攻撃的で、例年にはない症状「咳き込む」が出た。早めに薬を飲み始めたが勝てず、毎日マスク▼シーズン前には、さまざまなメディアから、花粉症とさよならする体質改善などの情報が発信される。実際に試してみて効果があったという人も身近にいる一方、今シーズンから花粉症になったという人も▼終わってみれば、その苦しみを忘れてしまうのだが、こんなデータをみると早くも来年が気になる。(ほ)

おいしさ

 料理店で食べた米ナスの味が忘れられず、わが家で挑戦してみた。ナスを焼いたら皮をはぎ、だし汁にしょうゆ、酒、みりんなどでつくった漬け汁に浸して冷ます。結果、味はまずまずなのだが、店で食べた料理のうまさからはほど遠い▼おいしいと思ったらまねてみることは基本で、もう一つ、コーヒーのドリップについても、ある喫茶店のマスターの作法を眺め、それを実行している。これまでのやり方から、少し変えるだけなのに、味が変わってしまうから不思議▼先日、群馬大学理工学部で開かれた未来創生塾の味覚実験を取材したが、そのとき、ニンジン嫌いな男の子が、「鼻をつまみ、すりおろしたニンジンを食べたら、味が分からずに食べられた」と話していた。もちろんそれは「おいしい」という次元ではないが、「食べられた」という喜びが、子どもにはある▼私たちはいったい何をもって「おいしい」と思うのだろう。宝田恭之教授は、甘味、酸味、塩味、苦味、それにうま味のバランスだけでなく、食感、見た目、香り、温度、親しい人との会話、食卓の環境など、構成要素は多彩だという▼だとすれば、料理の腕はさておき、改善できる要素はありそう。希望がわいてくる。(け)

1万の重み

 「香取さんならきょうはまだ登ってないよ」「香取さんはもう下ったよ」―。吾妻山に登っている人なら、誰に話しかけてもだいたい知っている。本人は決して目立ちたがりではないのだが、登場する数があまりに多いのと、誰にでも気さくな笑顔をふりまくから、いつしか有名人になってしまった▼そんな香取逸夫さん(76)がきのう午前7時すぎ、吾妻山に「1万回目」の登頂を果たした。どこからともなくそれを聞きつけた愛好家仲間数人も一緒に登り、用意のいい佐藤功さんがノンアルコールビールを持参して、山頂はちょっとした祝賀会場となった▼足かけ30年間、ここ数年は1日2回、年間400回以上のペースで登り、積み重ねてきた数字。本人は「たいしたことじゃないんですよ」と繰り返すけれど、一つのことを地道に続けることの偉大さはすごいとしか言いようがない▼「そりゃ、剱岳や槍ケ岳にも行ってみたかったけれど、店がありましたからね…」。本当は北アルプスの名峰にも挑みたかったが、73歳まで経営した眼鏡店を休むわけにはいかなかったと本音も漏らす。だが、吾妻山登頂記録の最高峰を打ち立てたその偉業は、百名山制覇よりも立派だと、個人的には思う。(成)