カテゴリー別記事: ぞうき林

健康と運動

 久しぶりにラジオ体操第一をしたら、へとへとに疲れてしまい、驚いた。子どもの頃からなじみのある同体操。当時は体も疲れず、大した運動ではないと思っていたが、単に腕を上げたり体を回したりするだけでも大変な運動量だということに、この年齢になって気づいた▼生活習慣病も気になりだし、軽く運動をしたいと思うように。ラジオ体操を毎日続けてみようと思ったが、わずか3分程度なのになぜか面倒で続かない。「明日すればいいや」と思いながら、つい甘いものを食べてしまう毎日だ▼先日、みどり市民体育館のトレーニング室へ行ってみた。利用するには、まず予約制の初回講習を受け、トレーニング機器の利用方法などの説明を受ける。体力測定も行い、心肺持久力や柔軟性など7項目で自分の体力年齢を出す。顔写真入りの利用者カードが発行され、1時間200円で利用できる▼運動をしている人は年齢を重ねても背筋が伸び、細身ながら筋肉があり、健康で朗らかだ。運動不足だと体力だけでなく精神的にも落ち込みやすくなるそうだ。まずは日常生活の中で体を意識して動かしたり、歩く距離を延ばしたり、普段からよい姿勢を保つなどの小さな努力から始めたい。(

選べる意味

 笠懸付近を車で走りながら、これは何の畑なのかと首を傾げることがある。鮮やかな緑色の植物が細い枝を無数に伸ばし、無造作に成長している。市場の関係者に尋ねてみるとそれはおそらくアスパラガスと、謎を解く▼この時期のアスパラは柔らかくて食べやすい。調理も簡単。旬の野菜は味付けもシンプルでOK。隣の足利では、アスパラガスの生産農家が増えている。JA足利では「あしかが美人」のブランドで、イチゴ、トマトなどと並んでアスパラを特産品として売り出している▼春先の寒さの影響で、今年の野菜の成長は全般に遅れぎみ。入荷量も例年より少ないのだと、市場関係者は話す。見れば向こうにもう一つ、別のアスパラの箱が。聞けば海外からの輸入物で、生産地はメキシコ。卸値は国内産のほぼ半値だ▼価格で選ぶ人もいれば、安全性や農家の支援を考慮し割高な国内産を選ぶ人もいる。そんなふうに選べるという状況こそ、食の安定供給が機能している証しともいえる。市場関係者の苦労も、そんなところにある▼昨夏の台風被害でジャガイモの生産量が減少し、ポテトチップの製造に影響が出ていると聞く。天災の増える時代。食の安定供給の意味を、もっと考えてみたい。(

隣町の市長選

 太田市長選は現職の清水さんが多選批判をものともせず、圧勝で通算7選を果たした。投票率は41%台と低調。それだけ太田市民が現状に不満がないということなのだろう。人口がまだ増えていて、スバル車が好調で税収も潤沢なら変革への期待より現状維持を望む声が上回るのも無理はない▼公開討論会で3候補の主張を聞き比べたが、客観的にみても清水さんの話が一番分かりやすかった。桐生市に近い吉沢・原宿地区に新たな工業団地を整備し、財源を増やして子育てや福祉に回すという単純明快な主張に、新人2氏は太刀打ちできなかった▼清水さんは東洋経済新報の「住みよさランキング」で太田が県内1位、関東8位だと強調することも忘れなかった。このランキングは桐生地域に住む者としては以前から納得しかねるが、批判票をかわすには好都合な数字だろう▼太田市長選を傍観していて「シビックプライド」という言葉が浮かんだ。「市民の誇り」といった意味だが、太田市民は自分のまちにどれくらい誇りを持っているのだろう。人口や税収が堅調な分、まちづくりに対する市民の当事者意識はどうなのだろうと、市長選でさえ6割の市民が棄権する状況を見ながら思った。(

春風雑話

 春は早くから誘いが多い。まだ寒い時期の「ヤマアカガエルが大合唱だよ」に始まり、野山で咲く花々に芽吹く新緑、ヒキガエルの目覚め、エトセトラエトセトラ。そういう誘いはなるべく乗るようにする▼なんて言うとフットワークが軽い人間のようだけど、幼い頃は家族が心配するくらい動かない子どもだったらしい。三つ子の魂百まで。生来、出不精な人間で、だからこそ意識してお出かけするのだ▼昔、大流行したドラマのせりふで好きな言葉がある。「出不精なんだけど、人からの誘いには結構乗るんだ。案外いいことあったりするし。帰り道にきれいな夕日が見えたりとか、それくらいなんだけど」。細かい言い回しは忘れたけれど、こんな内容。ミーハーだと言われようと、何となく大切にしている感覚だ▼朝日を浴びて染まる山、空を裂いた稲光、大きく真っ赤な夕日、凍える空気の満天の星。どれもこれも、部屋に閉じこもっていたら見られなかったもの。出合えてよかったもの▼脳みそが沸騰して疲れ切った夜、花の匂いと雨上がりのやわい風が抜けていく。見上げれば雲の隙間から月の白い顔がのぞいていた。あしたもまた、きれいな景色が見られたら。楽しい何かに出合えたら。(

巨匠の推薦文

 「この人の作品はすべてたからものです。あわてて読んではいけません」。そんな奇妙な書き出しで始まる文章が目に留まった。中学生になりたての末っ子が持ち帰った、新しい国語の教科書(光村図書)を、興味本位でパラパラめくっていたときだ▼アニメ映画監督の宮崎駿さんが書いた、宮沢賢治作「注文の多い料理店・イーハトーブ童話集」の推薦文。「となりのトトロ」に出てきそうな少年が、縁側に寝そべって本を読む姿を描いた、宮崎さんのイラストも添えられている▼「ゆっくり、なんども読んで、声を出して読んで」「心にひびいて来るものや、とどいてくるものに耳をすませて」「何日もたってからまた読んで、何年もたってからも読んで」と推薦文は続く▼「判らないのにどうして涙が出てくるのだろうと思い、ある時はなんだか見えてきたような気がして、とたん、スウッときえていくのです」。そんな美しいものがあることを、教えてくれる本だと語りかける▼サンテグジュペリ作(内藤濯訳)「星の王子さま」の推薦文も魅力的だった。子どもが自ら読みたいと思うような工夫に満ちていた。冷やかし半分で手にした教科書に、いつの間にか引き込まれていた。(