カテゴリー別記事: ぞうき林

今年最大

 きのう4日の早朝、つまり月曜の朝6時ごろ。早起きする必要があって外出したら、西の空に大きくて明るい満月がくっきりと浮かんでいた▼「スーパームーンってやつかな」。そう思った。事前には知らなかった。あとで国立天文台のホームページなどをみると、「今年最大の満月」と載っていた。人けのない夜明け前の町を歩く私と、ひときわ大きく明るい満月。たまたま出合った好運な現象を、わずか数分ではあったが満喫できた▼家を出る前から、やけに外が明るいな、と感じてはいた。でも、こんなにでっかくて明るいとは。まして「今年最大」と言われると、得した気分になる。スーパームーンというのは天文用語にはないそうだが、「地球に最も近い満月」より分かりやすいとあらためて思った▼どれだけ大きくて、明るいかという数値がある。地球から最も遠い満月(つまり小さい満月)と比べると、見た目の直径は14%大きく、明るさは30%アップなのだとか▼「今年最大」は去った。が、年明け早々にスーパームーンと出合える可能性がある。来年の「今年最大の満月」が1月2日なのだという。お正月のこの日、日の出前、天気がいいことを祈る。(

チバニアン

 地球の内部には“でっかい磁石”があって、その磁場が地球全体を覆っている。磁場や大気があるおかげで、宇宙から到来する有害な宇宙線が弱められ、私たちの暮らしも成り立っているのだと、これは学校の授業で習ったこと。方位磁針のN極が北を、S極が南を指すのは、地球磁石のS極、N極とそれぞれ引かれ合うから▼長い歴史の中で、この磁場はときどき反転してきたらしい。少なくとも、この360万年の間に11回、N極とS極は入れ替わった。岩石の成分を調べると、それができた当時の磁場が分かる。いわば磁場の化石か。地質学の中には、これを調べる「古地磁気学」なる学問分野も立派に存在している▼ラテン語の「チバニアン」とは、日本語で「千葉時代」のことで、77万年前から12万6000年前の、中期更新世を指す。地球磁場が最後に逆転した痕跡が、千葉県市原市の地層の中にはっきりと残されている。だから、この地層を一つの指標と定め、それに該当する地質時代をチバニアンと命名しようというわけだ▼まだ1次審査で、正式決定は来年とのこと。興味深い話なのだが、磁場の反転が起こると、私たちの暮らしにどんな影響が及ぶのだろう。そちらの方がもっと知りたい。(

よい聴き手

 傾聴という言葉がある。一般的には「耳を傾け熱心に聞くこと」。ビジネススキルの一つとして“傾聴力”なんて使われ方をするらしい。さて、ここから先は「傾聴ボランティア」として行われるのと同じ意味で「傾聴」を使う▼この数年でたびたび、傾聴を学ぶ講座を取材した。それによると「よい聴き手は肯定的にあることが大前提」だという。聴き手の考えに沿うかどうかは別問題。沿わないからといって、流して聞いていいものでもないし、反論するものでもない。まあ、今の自分には大変に難しいなあと思う。そこで「大切なのは相手が歩んできた人生、培ってきた価値観を受け止めること」だそうだ▼人の生き方、考え方は異なっていて、世界は多様な価値観があふれている。その中で他者を理解する鍵となるのが「この世に命を与えられて生きている、存在している」という事実。その一点においては誰もが対等で、傾聴の根底に欠かせない感覚という▼ある医療機関が患者本人に渡す書類「患者さんに対してやったことリスト」の項目の一つに「傾聴」があった。患者の不安を傾聴したら丸印をつけるという。改めて考えてみると、ずいぶんハードルが高い項目だと思うのだ。(

失敗する権利

 トップアスリートの指導者が明かした。伸びる選手に特徴があるのと同じく、その親にも共通の特徴があるという。つまり、子どもの成長を促す親のあるべき姿。いったいどんな共通項があるのだろう▼東京五輪に向けて日本柔道の強化を担う全日本柔道連盟強化委員長で、日大文理学部准教授の金野潤さん(50)。11月26日に桐生第一高校で開かれた同学部体育学科同窓会主催の講演会で持論を語った▼“イチローとチチロー”のような二人三脚の親子関係こそ、トップアスリートを育てる親にふさわしいのかと思いきや、金野さんの答えは全く違った。いわく「子どもと適度な距離感を保てる保護者」▼実際に、幼いころから二人三脚で歩んできた親の過度な期待が、子どもを追い詰めてしまうケースが少なくないという。「親が子どもの目線まで下りるのは大事。だが、子どもと同じ視界でしか見ていない親もいる」と警鐘を鳴らす▼「大人が子どもより優れているのは“失敗の数”だけ。目線は下げても、少し離れた場所から全体を見る。これが大人の責任」。失敗から学ぶ権利を、子どもから奪うなかれ。自分と同じ3人の子をもつ父が語る、自戒を込めたメッセージが胸に響いた。(

簡単の奥深さ

 お菓子作りを久々にしようかということになり、とはいえ、凝った品に挑戦する気力には欠けたので、さあ何を作ろうかと思案した結果、選んだのが「チョコバナナ」。祭りの露店で売られている、あの定番だ▼むいたバナナにチョコレートをかけるだけだから、何の工夫も要らず、チョコさえ溶かせば楽勝だろうと高をくくって作業に入ったら、存外難しかった。適当に割った板チョコをボウルに放り込み、湯煎したが、底の部分が焼きついたようにへばりつき、どうにもうまくいかない▼結局きちんと溶けず、市販のチョコレートソースを継ぎ足したりして無理矢理液化させて続けたものの、何とも不格好な仕上がりに。調べると、チョコレートの成分は高温になり過ぎると変質するため、湯煎も熱湯ではなく50度程度が適当で、板チョコも細かく砕いて溶けやすくしておかねばいけないと分かった▼手順を学んで再挑戦すると、今度は上手にできた。バナナは反っているから飾りのチョコスプレーをきれいにまぶすのも割と大変。身がやわらかいので作業に手間取ると刺した割りばしが突き抜けて崩れる。簡単にみえる中に意外な奥深さがあると実感した。チョコバナナは侮れなかった。(