障害と障がい

 言葉の一つ一つには、発した側の思いが宿る▼障害の「害」をひらがなで表記するのが嫌いだとテレビで語っていたのは、リオデジャネイロ・パラリンピック競泳日本代表選手の一ノ瀬メイさん(19)。「わたしからしたら、障害は本人じゃなく社会やから」▼若者らしい率直な語り口だからこそ、言葉に込めた思いの大きさが伝わる。生まれつき前腕部の欠けた右腕が害なのではなく、社会の障害と向き合っているから障害者なんだと▼一方で、障害を「障がい」とひらがな表記することにこだわる人もいる。桐生・みどり地域で暮らす障害児の母親の会「ハートバッチの会」代表で桐生市新里町在住の有家久美さん(37)▼障害は個人ではなく社会の側にある、という思いは一ノ瀬さんと同じだ。ただ、障害児と暮らす多くの親たちにとって、障害はわが子個人の問題であるのも事実。「『害』を使いたくない親が1人でもいるなら、その気持ちにとことん寄り添っていきたい」と語る▼「障害」を使う人にも、「障がい」を使う人にも、それぞれ大切な理由がある。「社会の障害と向き合う人を障害者と呼ぶ」。そんな世の中に少しでも近づけたいとの熱い思いは少しも変わらない。(針)

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