トキの島から

 国の文化財保護制度が広がっている。国宝や重要文化財は単体の指定だが、1975年からの重要伝統的建造物群保存地区は歴史的な集落や町並みが対象。2006年には重要文化的景観の選定が始まり、水郷や棚田、里山、漁村など全国51カ所に増えた▼新潟県佐渡市相川の鉱山町は15年の選定。江戸時代の手掘り跡「道遊の割戸」など鉱山遺跡と関連施設、佐渡奉行所跡、金銀山に引き寄せられた人々が暮らした町、物資の流通で栄えた町、寺社、街路、坂道、食料を供給した農漁村やため池、河川、積み出し港など約630ヘクタールにおよぶ▼地域の自然や地形を巧みに利用して暮らしてきた歴史を物語る景観は、身近で当たり前のようにある。それが世界文化遺産登録を目指す遺産群でもあるのだ。多様で広範囲な構成要素を、半端な観光資源ではなく文化財として、守り伝えていかなければならない▼その理念や手法を学ぼうと、建築業者や行政担当者らが来桐した。桐生伝建修習の会の案内で共に桐生新町地区を歩くと、建造物の修復が進む一方で風化や崩壊の危機も増していることを実感する。“意識の高い、先進地”という外聞を損なうことのないよう、何ができるか考えたい。(

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