ファインプレー

 どこかで見た顔だなあ。懸命に記憶をたどるも、あと一歩で出てこない。桐生市役所で3日に行われた新規採用職員の辞令交付式。「金丸稔」。「はい」。名前を呼ばれた青年が、笑顔で返事をした瞬間、はっきりと思い出した▼ボールをつかんだグラブを突き上げ、雄たけびを上げて何度もジャンプしながら、仲間が待つ場所まで笑顔で駆けてくる。5年前。夏の甲子園をかけた高校野球県大会で4強入りし、旋風を起こした桐生南高校のヒーローの姿だった▼前橋工を破って臨んだ樹徳戦。1点リードの延長十一回裏2死一塁、快音とともに大飛球が外野を襲う。樹徳の同点打、逆転サヨナラか―。そう思った瞬間、懸命に背走するレフト金丸が飛びつき好捕。一世一代のファインプレーで危機を救った▼清流中出身の168センチ70キロ。本職はセカンド。地元出身の小柄な選手たちが、強豪校を次々と破る快進撃。その立役者の一人として当時の桐生を沸かせた▼「あの金丸君かい」「はい、元桐南野球部です」。ユニホーム姿から真新しいスーツ姿になったものの、人懐っこい笑顔は変わらない。桐生消防署配属。今度は消防職員として、市民を守る“ファインプレー”を頼みますよ。(

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