イズミの功

 桐生が岡動物園のシンボルで、雌のアジアゾウで国内最高齢だった「イズミ」が死んだ。今月22日に62歳の誕生日を迎え、祝福を受けるはずだった。無念である▼イズミに興味を持ったのは4年ほど前に開園60周年特集を担当してから。取材で、戦後のゾウブームを背景に2歳の時にタイから来日し、9歳まで静岡県熱海市泉の温泉旅館が経営していた動物園で過ごしたが、閉園後、最後まで引き取り手がなく、不遇な時代を送ったことを知る▼イズミという名はその地名に由来し、当時からそう呼ばれていたことも知った。ついでに、公表されている、元居た動物園の場所が「神奈川県湯河原市泉区」というのも誤りで、県境の川をはさんだ熱海市域だったこともわかった。その一帯(元居た動物園も)は湯河原温泉エリアであり、最寄駅も湯河原駅。また開園当時に湯河原町への編入をめぐりもめたこともあり、あり得る間違いとも思った▼桐生に来てからは動物園の三種の神器の代表格として、丘の上の小さな家で一隅を照らし続けた。悲しい出来事もあったが、53年間、その姿に癒やされた人は数知れず。イズミはいなくなったが、人々の心にはいつまでも居続けるはずだ。(

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