伝わるぬくもり

 繊維産業は衰退産業だと、一般的にはみられている。分類上は軽工業で、発展途上国が工業化し始めたとき、主要産業となるのがよくあるパターンで、途上国から大量の繊維製品が輸入され、海外高級ブランドさえも生産地に中国などを活用している現状をみると、厳しいのには違いない▼だが、考え方次第で、道はまだまだあるのだと、こいのぼりの捺染(なっせん)で知られる桐生市境野町の染め工場、平賢の新しい取り組みをみて実感している。本業の技術を生かした桐生らしいものづくりで地域を発信したいと、入社丸10年の小山哲平さん(33)が手拭いの生産を始め、消費者に届けはじめた▼地場の繊維産地を回っていて、「これは作っていないな」という物の一つが手拭いだった。正確には、決して作っていないのではなく、本格的に小売りするところがなかった。手拭いメーカーとなった同社は、商品名も直球で「桐生手拭い」にした▼若者にも好まれるだろう高感度のデザイン。柄に「KIRYU」の文字をさりげなく入れ込むなど、地域を発信したい思いを形にした。手染めで丁寧に仕上げられている背景を知ると、作り手のぬくもりが布から伝わってくるようだ。(

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