飛行機雲

 野良猫に会いに行こうと、いつものように夜中の散歩。もうすぐ満ちそうな月と、少し離れたところで光る木星のおかげで、うっすらと影ができるくらいに明るい▼ほの暖かい空気の中でごろごろ転がるネコをあやして、なにげなく空を見ると、月の下、ななめにすーっと、月明かりに照らされた白い線がのびていく。その先端には赤い光が点滅している。こんな真夜中にも飛行機が飛んでいるのかと驚きつつ、群青色のカンバスに現在進行形で描かれていく不思議なかたちを、何ともいえない気分でながめた▼月と木星が近くにあるのは今の時期、毎月あるが、それに飛行機雲が1本加わるだけで、日常と異なる風景になる。ただそれも、飛行機がいつ、どこに向かって飛ぶのか、そしてそのタイミングで自分が外に出て、空を見ているか、そうしたいろいろな偶然が重なって出合えた風景。ネモフィラとかシバザクラとかフジ棚とかも人気ではあるが、こういうのも「絶景」というのだろうか▼絶景というのは、日常の風景ではないが、日常の風景の延長にもあるのだなあと、薄くなり消えていく飛行機雲をながめながら思った。非日常の楽しさは、日常のほんのちょっと先にあるのだなあ、と。(

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