紙の世界

 いまの子どもにとってインターネットのない生活は「歴史」の勉強になってしまうのだろうか▼桐生第一高校で行われた特別授業「ストーリー漫画入門」の取材に訪れた。2012年に始まった授業は何度か取材し、講師で漫画家の三友恒平さんの話を聞いてきたが、「電子コミック」の勢いには驚かされる▼昨年度の漫画の売り上げは4500億円。うち雑誌は1500億円で20年前のピーク時の半分となる一方、電子コミックは1000億円を稼ぐ。「漫画家としてデビューしたいなら、ネットも視野に入れて考えてほしい」と三友さんはアドバイスした▼雑誌の発売日を心待ちにした世代でもいま、単行本は紙の本を買うが、新作との出会いの場はもっぱら電子コミックになっている。ネットのある世界に生まれた子どもたちにすればなおさらだろう▼先行する音楽業界。みんなが知っているヒット曲は少なくなり、細分化された世界ごとにヒット曲が生まれる。それでも、さまざまな壁を越えられるのがネットのよいところ。自分の青春時代の曲を演奏する若者と出会い、うれしくなる▼紙の世界でも壁が崩れると考えるべきか。新聞の世界には小さい壁が次々生まれている気がするが。(

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