生き証人

 「いっぺんに十数万人。たった一発の爆弾で桐生の人口より多くの人が死んだ。そう考えると戦争は恐ろしい、でも、当時は生きるだけで精いっぱいで…」▼戦時中に広島市内で被爆した桐生市民の体験談が、広島市の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に、被爆者証言として保存されているのをご存じだろうか▼被爆の実相を後世に伝える被爆者証言ビデオを収録しようと、同祈念館が2003年度から広島・長崎両県以外に住む被爆者を訪ね、これまでに全国から300人以上の映像を集めている▼冒頭の証言は、06年秋に群馬県内で収録された桐生市内在住の被爆者インタビューの一こま。被爆直後から20日間以上も生死をさまよい、かろうじて生き残った80代(当時)男性の言葉だ▼あれから11年の月日が流れ、その男性も鬼籍に入られた。今年の「終戦の日」向け企画記事の取材で、桐生地区(桐生・みどり両市)の被爆者数を知り驚く。当時十数人はいたはずの被爆者たちが、わずか5人に減っていたからだ▼多くの人たちにご協力いただき、5人の“生き証人”のうちの1人から話を聞くことができた。地元に暮らす被爆者の貴重な証言を、14日の紙面に刻み込みたいと思う。(

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