下から見るか

 足利の花火大会にお呼ばれした。桐生八木節まつりの中日のことで申し訳ない気がしたけれど、せっかくなのでお邪魔してみる。案内されたのは人であふれる河川敷、打ち上げ花火を真上に見る場所だった▼ほどほどに月と星が見える黒い空。視界いっぱいに花火が開く。同時にどおんという轟音が心臓に響く。散る。静かに残り火が燃え尽きて、花火の形をした煙が風にゆがむ。たなびく▼尺玉にスターマイン、仕掛けにフィナーレのナイアガラ。次々と繰り広げられるショーから目を引き離して振り向けば、この行事を楽しみはしゃぐ表情が色とりどりの光に照らされていた▼そして観客が空を見ているうちに、地上ではものすごいスピードで次の準備が進められる。黒い衣装に身を包んだ職人たちが、文字を浮かび上がらせる仕掛け花火を仕込んでゆく。彼らは空を見上げることなく、ライト一つで淡々と動き回り準備を進めてゆく▼これまでは遠くから眺めただけでわかった気になって、「まあ、混雑の中に飛び込んでいくほどでもないかな」なんて言ってたけれど、現場は別物。思わずこぼれた拍手と歓声はあの場ならでは。打ち上げ花火、下から見ないとわからないことがあるのだ。(

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