動物園に行く

 桐生が岡動物園に行くと必ず、事務所棟前のホンドタヌキを眺める。駆けまわる今春生まれの子ダヌキを見ては、にやつく。夜行性だからか午前中は寝ていることが多くて、寄りあったひとかたまりに何頭いるのか数えたりもする▼「タヌキは身近だから積極的に増やさない動物園もあるんです」。そうだよなあ。どうしたって珍しく迫力ある動物に注目してしまうもの。そういった動物の飼育展示や繁殖は動物園の重要な役割の一つ。だけどタヌキのような身近な動物についても同様で、改めて見れば発見だらけ▼野生とはあまりに環境が違うから、動物園の観察で実際の生態そのままを知ることは難しい。だけど顔つきとか走り方とか実物を見て教えてもらったことは多い。ふくふくまあるいイメージの一方で夏はしゅっと精悍な顔つきであること。夫婦で子育てしていること。何より野生ではお目にかかれない子ダヌキのかわいらしさに胸が高まる▼知っているようで実はよく知らない生き物たちがいる。珍しくもなく、当たり前の存在で、だからこそ素通りしてしまいがち。だけどせっかく隣り合って生きているのだから、興味と敬意を持って向き合いたい。動物園での観察はその一歩。(

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