脚本のゆくえ

 徒歩で1カ月半から2カ月。車でも2週間かかるという。弘法大師・空海ゆかりの四国八十八カ所霊場をめぐる遍路。一度は行ってみたいと思うが、勤め人にはハードルが高い。健康上の理由で難しい人もいる▼「ならばいっそのこと、遍路そのものを勧請できないか」。そんな檀家の声を受けて2007年秋、みどり市大間々町高津戸の自音寺境内に、四国八十八カ所霊場を模した“境内遍路”が完成した▼1周約500メートルの巡拝路。実在する霊場寺院ごとに、本尊を模写して作った石仏88体をそれぞれ配した。石仏や踏み石の下に敷く砂は、現住職と先代住職が歩いた四国遍路で、各霊場寺院から分けてもらったものだ▼きょうは、その10周年記念の大縁日法要。例年にも増して多くの巡拝者が、姿や表情の異なる石仏の前で、静かに目を閉じて手を合わせた▼ふいに、近くの県道を選挙カーが通り過ぎる。きのう始まった衆院選。解散のタイミングから、めまぐるしい野党再編。“劇場型”の言葉が浮かぶ▼どんなに派手な劇場であっても、脚本を書くのはわれわれ有権者。世間の喧騒から離れ、巡拝路を歩きながら、これから作る脚本のゆくえに、思いをめぐらせるのもいい。(

関連記事: