水路の研究

 法政大学デザイン工学研究科の堀尾作人さんは昨年度まで、江戸期から明治期にかけて発展した桐生の織物産業について、水力利用の視点から見つめ直す作業に挑んだ。その成果は論文となり、この夏、建築学会の論文集に掲載された▼タイトルは「産業革命前における水力産業都市・桐生の形成」。渡良瀬川の水を引いた赤岩用水と、桐生川から取水した大堰用水に焦点を当て、それぞれの水系のどこに、どんな業種の集積があったのか調査してまとめている。桐生を訪れ、多くの人に話を聞き、資料や文献を調べ、考察を加えた結果だ▼明治初期の桐生は二つの用水をフル活用し、「水力利用型の織物産業都市として発展してきた」。まとめの中でそう触れながら堀尾さんは水利の視点を踏まえて今ある社会的資産をとらえ直す必要性を指摘している。同時に、地域に存在する小さな自然エネルギー源の利用法についても、考えるきっかけになるはずだと▼戦後、水路は地下溝となり、市街地からは水辺が消えた。いま水路は自然エネルギー源として、人の心の安らぎとして、再び活用が求められている。研究者から投げられたメッセージにどう反応したらよいのか。私たちが試されているようだ。(

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