袖振り合うも

 赤やオレンジ、青の帯がうねるように塗られた絵画。福島県南相馬市出身の坂内直美さんが故郷を描いた作品だ。桐生市の本町通り沿いにあるパンセギャラリーで行った個展は桐生えびす講とともに始まったので、通りからでも作品を目にした人は多いのではないか▼東日本大震災後、津波に襲われ、色を失った風景に色をつけたいと創作の動機を語った坂内さん。パレットでは混色せず、大胆なストロークで塗り上げた作品の色の強さはパンセギャラリーの白い壁面を飾った過去の作品の中でも一番の部類というが、取材で会った彼女は驚くほど穏やかな人だった▼今年の夏に里帰りした時に描いたというスケッチ風のドローイング作品もあわせて鑑賞し、この優しい笑顔の女性に故郷はどんなふうに映っているのか考え、今後も作品を見続けてみたいと思った▼桐生とは縁もゆかりもないという作者。企画者の福沢一郎記念館学芸員の伊藤佳之さんが伊勢崎市に住むつながりで、パンセギャラリーに声がかかり、実現したという▼知らない者同士が何かをきっかけにつながる。インターネットの世界では珍しくないかもしれないが、実社会で、その手伝いができたらうれしいと思う。(

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