はなむけ

 みどり市の成人式開始前、司会を務める新成人の津久井駿さん=笠懸町鹿=は笑みを浮かべて「緊張しています。(言葉を)かまないようにしないと」と背筋を伸ばした。迎えた晴れの舞台、その表情は確かに少し硬い気がしたけれど、落ち着き払っていて、無事に式典終了まで導いた▼これは客席から見た式典の話。表舞台の成功には必ず裏で支える人がいる▼成人式に限らず、どんな式典にもバックヤードがあって、その一つは舞台の袖。たいていは薄暗くてぴりりとした雰囲気がただよう。スケジュールに遅れはないか、人の動きは円滑かどうか。物音をたてぬよう身じろぎせず、呼吸にすら気を配り緊張感をもって、主催者は何度も何度も確認をする▼自分が成人した頃は、しつこくて大げさに思えた念入りな準備。けれど今では、すべてバックヤード側の「思い」が形になったものだと知っている。とどこおりなく式典を終えることが、新たな門出を祝う最大のはなむけであること。だからこそ舞台袖は長く丁寧に準備をして、本番でも気を張っているのだ▼そうやって真摯な気持ち、態度で新成人を祝うバックヤードがある。今年の「成人の日」、その大切さを改めて考えさせられた。(

関連記事: