魔法のランプ

 指先にひび割れができた。右手中指の爪のそば。長さは2、3ミリ。それほど深くはないが、すこし血がにじんだ。薬をつけて、保湿クリームを塗り、数日たったら痛みはほぼなくなった▼完治ではない。まだ、すこし割れていたので、「塗る絆創膏」というのを初めて買って試してみた。プラモデルを作るときに使う接着剤のようなにおいがする透明なジェル状のもの。数分で乾いて、水にぬれても取れない。「なかなか優れものだな」と感心した。10グラム入りで数百円だった▼社会には便利なモノが出回っている。スマホは、その最たるモノ。アラジンの魔法のランプにも大いに近づいた「万能箱」のようで、「ス、スー」とこすると、何でも出てくる。画面の中だけではない。数日後、いや数時間後には「欲しい」と願ったものが手元に届く。まさに「魔法のランプ」ではあるまいか▼こんなに便利すぎていいのか―。人としての機能が退化しないか―。そんなことすら思う。ひび割れを生じさせないケアを普段から心がけていなくても、「あの薬があれば大丈夫」と思う気持ちが人生の落とし穴にならないようにしたい。魔法のランプにその願いを聞いてもらおうか? いや…。(

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