「たび人」のたより

 体が不自由なため、移動手段には主に電動車いすを使う大久保健一さん(37)=兵庫県西宮市=はよく旅に出かける。みどり市笠懸町の実家に帰省する以上に、高速バスに乗って日本各地をまわったり、航空機に乗って海外にもよく行く▼先日も「タイ行きの航空機で搭乗拒否されかけたが、解決しました」というメールが届いた。LCC(格安航空会社)の便を予約したところ、その後しばらくして「手動車いすなら搭乗可能だが、電動車いすだと搭乗できない」との連絡があり、大久保さんは「電動車いすは自分の障害に合わせて作った“体の一部”」といった主張を盛り込んだ要望書も提出するなどして搭乗不可を撤回させたという▼視覚や聴覚に障害を持つ人を含め体が不自由な人が移動するには制約が多い。観光を楽しんだり、飲食をするのに介助者が必要になる場合も少なくない。大久保さんは地元の入浴施設で利用を断られたこともあり、そうした「バリアを感じるたび」に自分の体の実情を説明し、理解が得られるよう話し合ってきた。歩道橋の傾斜、路面の傾き、駅のホームの階段などにも注文をつけてきた。それらの行動が社会のバリアを一つずつ溶かしている。(な)

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