死なせる恐怖

 ふつうの中高生がある日突然、人を死なせてしまう恐怖を味わう─。そんなことが桐生近隣でも実際に起きている▼首都圏の大学に通う男子学生(19)は、桐生市内の高校に通っていた当時、自転車で帰宅時に歩行者と衝突。被害者は一時意識不明となった▼昏睡状態が何日も続き、回復をひたすら願う日々。「大変なことをしてしまった。一生背負っていかなければ」。食事ものどを通らない▼数日後、奇跡的に被害者の意識が戻り、家族と手分けして連日見舞いに通った。被害者側に誠意が伝わったことや、不正な運転でなかったこともあり、刑事事件にならずに被害者側と示談が成立した▼交通事故で死ぬ危険があることは分かる。が、人を死なせてしまう危険があるとは、それまで考えたこともなかったという▼きょう6月1日から改正道路交通法が施行され、自転車の安全運転への対策が強化された。3年以内に2回以上の違反行為があった場合、有料の安全講習の受講が義務付けられる。中高生を含む14歳以上のすべての人が対象となる▼自転車事故で死ぬ恐怖とともに、人を死なせてしまう恐怖。自転車に乗る機会が多い中高生こそ、両方の恐怖を想像してみてほしい。(針)

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