水辺の光

 遅い日暮れの後近所をぶらぶらと散歩する。子どものころは田畑ばかりで、梅雨入り前の今時分ならば、満々と水をたたえた水田が細い道の両側に広がっていたのだが、いまは住宅地に大変身。窓からこぼれる部屋の明かりに、ひとの暮らしを感じる▼頭の中の地図記号は、こうして更新されてゆくのだが、変わらないものもある。例えば水路の場所。景色は変わっても、住宅と住宅の間に変わらぬ水路を見つけたりすると、とたんに居場所がはっきりするからおもしろい。水辺の存在は、地域にとってますます重い▼暗がりに生き物の気配を探したくなる。昨年は近くの用水路で、思いがけずホタルが姿を現して、近所の話題になった。もしかしたら、こちらの用水でもホタルが繁殖しているのではないか。そう思いながら目を凝らしてみたが、気配はない▼身近な場所で、あの光に出あえれば、素直にうれしい。ホタルが暮らせる環境が、そこにはあるということ。ホタルを呼び戻そうと、環境整備に力を入れる人たちの活動に敬意を表しつつ、ひとの暮らしの質が、徐々に変わっている証しかとも思う▼今年はホタルの活動が早いという。ホタルの地図を更新する作業も必要になるのか。(け)

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