木陰づくり

 2020年の東京五輪に向け、準備が進んでいる。国立競技場のデザインがどうなるのか、いくらで収めるのか、工期は間に合うのかと、それだけでも気がかりなのだが、それにもまして気になるのが開催時期だ▼隔海度という言葉もあるが、一般に、海に近いほど一日の気温は変化しにくい。沖縄の那覇で猛暑日がないのも、海に近いことが一因。最高気温だけを見れば、内陸の桐生や館林などより東京の方が低いのもうなずける。ただ、今夏は東京でも猛暑日が続き、海の恩恵は薄まりつつある▼1964年の東京五輪は晴れ渡る秋空の下、10月に開かれた。それが2020年は7月下旬から8月上旬にかけての開催となる。温暖化が進む中、東京の夏はますます暑くなる恐れがある。おそらく猛暑の中で開かれるスポーツの祭典で、世界中から集う選手や観客がどんな思いをするのかと、心配は尽きない▼すでに分かっている課題ならば、対策を尽くすしかない。新しいアイデアや技術革新は、逆境の中で生まれるもの。群馬大学理工学部の研究室が、移動式の植栽を使った木陰づくりの実験を進めているが、東京五輪後には、それがスタンダードになる可能性もある。成果に期待したい。(け)

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