味覚

 中学のころ、保健体育の先生にいわれた。「人間はな、プールに耳かき1杯の砂糖でも入れりゃあ甘いって感じるんだよ」。ほんとかねえ、とは思ったが、まあ先生の言うことだからと、その後もずっと信じている。要するに、人の感覚、味覚っていうのは思っている以上に鋭敏だということ▼深夜に帰宅し、遅ーい夕ごはんを食べた。おかずは一口カツ。ソースカツ丼にして食べろということで、それ用のソースができている。このソース、だいたいのレシピは知っているけれど、家庭ではどうにも、お店の味にはならない。仕方ないよなとは思いつつ、ちょっと味をととのえてみようと思い、砂糖を加えた。…あれ? もう少し加えてみた。…あれれ? けっこうたくさん、加えてみた。えーっ?▼自分の思っていた以上に、店屋物のソースカツ丼用のソースには、大量の砂糖が入っていたようだ。けっこうびっくりする量だった。そういえばペットボトルのジュースには、スティックシュガーにして十何本分の量が入っていると聞いた▼知らず知らずのうちに濃い味に慣らされているのだなあ、感覚っていうのはこんな感じで鈍くなっていくのかなと思うと、なんとなく切なくなった。(篤)

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