今月の記事: 2017年11月

水路の研究

 法政大学デザイン工学研究科の堀尾作人さんは昨年度まで、江戸期から明治期にかけて発展した桐生の織物産業について、水力利用の視点から見つめ直す作業に挑んだ。その成果は論文となり、この夏、建築学会の論文集に掲載された▼タイトルは「産業革命前における水力産業都市・桐生の形成」。渡良瀬川の水を引いた赤岩用水と、桐生川から取水した大堰用水に焦点を当て、それぞれの水系のどこに、どんな業種の集積があったのか調査してまとめている。桐生を訪れ、多くの人に話を聞き、資料や文献を調べ、考察を加えた結果だ▼明治初期の桐生は二つの用水をフル活用し、「水力利用型の織物産業都市として発展してきた」。まとめの中でそう触れながら堀尾さんは水利の視点を踏まえて今ある社会的資産をとらえ直す必要性を指摘している。同時に、地域に存在する小さな自然エネルギー源の利用法についても、考えるきっかけになるはずだと▼戦後、水路は地下溝となり、市街地からは水辺が消えた。いま水路は自然エネルギー源として、人の心の安らぎとして、再び活用が求められている。研究者から投げられたメッセージにどう反応したらよいのか。私たちが試されているようだ。(

改めて手間を考える 

 1年近くたつのだが、今年の新年号で「手間」を取り上げた。効率を追い求める暮らしの中で、私たちはいかに手をかけず時間をかけず、それでいて首尾よい結果を得ることができるのか。誰かがつくった道具や仕組み、有形無形のサービスを巧みに利用して、さまざまな手間を省くことに力を注いできた。

陸上100メートル9秒台達成の桐生選手へ、“桐生ジャン”でお祝い

 陸上男子100メートルで日本選手初の9秒台を達成した東洋大4年の桐生祥秀選手(21)をお祝いしようと、同名のよしみで応援を続ける桐生観光協会(宮地由高会長)と桐生広域物産振興協会(森島純男会長)は12日、同大主催の日本新記録達成報告会で、桐生選手用に桐生市内で刺繍した特注スカジャン“桐生ジャン”を贈呈した。壇上で羽織った桐生選手は「来年一人暮らしなので、新居の目立つ所に飾りたい」と気に入った様子。満面の笑みを浮かべながら桐生応援団に感謝の言葉を贈った。

桐生まち映画、役者にセンバツ4強の“立役者”

 1978年の春のセンバツと夏の選手権で全国の高校野球ファンを沸かせた桐生高校硬式野球部OBの木暮洋さん(57)と阿久澤毅さん(同)が11日、桐生市稲荷町の新川公園を訪れ、現在製作が進む桐生まち映画「祭りのあと、記憶のさき」(藤橋誠監督)のロケーション撮影に挑んだ。

平成の大久保事件

 「邑楽町らしい」。同僚記者がつかんだ情報に背筋が凍ったのは6日の朝だった。神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件。被害者に東毛地域の女子高生がいるとの情報を受け、にわかに当事者意識が高まった▼9人殺害を供述しているという白石容疑者は、「死にたい」とつぶやく女子を言葉巧みに誘い、犯行に及んだとされる。全貌はまだ不明だが、被害者の大半が若い女性という状況や人数、猟奇性の点で、大久保清事件を思い起こす人も少なくない▼1971年、群馬県内で約2カ月の間に若い女性8人を殺害し山林に埋めた大久保元死刑囚(76年死刑執行、当時41歳)は、画家や中学教諭などと偽っては100人以上の女性に声をかけていたといい、桐生市内の喫茶店で口説かれた女性も犠牲となった。この地域にとっても忌まわしい記憶だ▼大久保は精神鑑定で「精神病ではないが発揚性、自己顕示性、無情性を主徴とする異常性格で、性的、色情的昂進を伴う」とされた。報道で伝わる限り、座間市の事件と重なる点も多い気がする▼犯罪史上に新たな記録を残すだろう座間事件。大久保事件と同い年の身としても、女子高生の娘を持つ父親としても、人ごとではない。(