防災週間と台風

 防災週間に合わせたように、台風10号が日本列島に接近してきた。日本の南海上をさまよいながら勢力を増し、珍しく関東の東海上から回り込むように東北地方へと上陸しそうである。

 今年は台風の発生が遅れ、1号が発生したのはようやく7月に入ってから。ただ、その後は発生が相次いでおり、今のところ11個。気象庁のホームページには過去の台風のデータがまとめられており、閲覧するには便利なのだが、それを見ると、この時期で11個という数自体は例年に比べてやや少ない程度。特徴的なのは上陸した数の方で、8月だけですでに三つの台風が列島を襲っている。今回の11号で4個目となるわけだ。

 ひと月に4個となれば、データのある1951年以降、54年9月に1度あるだけで、まれなケースのようである。地球温暖化が影響しているのか、日本近海の海水温が高く、熱帯低気圧を発達させるに足るだけの熱エネルギーが供給されている。近海で台風が発生すれば、上陸する割合もおのずと高まる。

 もちろん、台風の数よりも重要なのは、私たちの暮らしへの影響で、荒れ狂う暴風や豪雨はときに私たちの生命や財産をおびやかす。そのため、人は天気の予報技術を発達させて台風の進路を読み、雨量や風速を予測し、過去の経験をもとに、予想される災害に備える。

 降水量が増えたとき、土石流の危険箇所はどこなのか、堤防が決壊した場合、どの程度浸水するのか。こうした、いざというときに身を守るために役立つ地域のこまやかな情報も、今では数多く公表されている。ただどんなに有益な情報でも、活用するのは人である。

 小学生の頃、台風が接近する中を友人と一緒に帰宅したが、道中で突風を受け、持っていた傘はお猪口になってすっかり骨が折れてしまった。結局、暴風雨の中では傘をさしている方が危険なのだと、肌身に感じたのを覚えている。傘を通じて腕に伝わる風の感覚は、そのまま台風の実感でもあった。

 情報過多といわれる時代だがどんなに情報を入手しても、人は自然災害で命を落とす。ただ、中には落とさずとも済んだのではないかと思える命もある。私たちの想定を超えるのが自然災害の本質なのだとすれば、危険を感じたらためらわずに行動を起こすことも、これからの時代、必要なのではないか。

関連記事: