自動運転の実験が始まる

 人工知能の技術開発が進む中、群馬大学は10月半ばから、桐生キャンパス周辺の公道を使って自動車の自動運転の実証実験を開始すると発表した。

 光景に気を取られてわき見運転をしてしまい、ブレーキをかけるタイミングが遅れてしまったとき、対象物との距離を検知して瞬時にブレーキをかけてくれる。あるいは、ドライバーがうとうとしてしまい、車線からはみ出しそうになったとき、ハンドルを修正してくれる。そんな支援技術が組み込まれた車両は、すでに登場している。

 最近では、ある一定の暗さになったら自動でライトが点灯されるような仕組みを義務化しようといった動きもあるようで、各種センサーと情報処理技術の発達は、自動車の自動化を急速に推し進め、私たちのカーライフを確実に変えつつある。

 群馬大学が目指しているのは人の運転を援助してくれるアシスト技術というよりも、完全な自動運転の仕組みなのだという。駆動、ハンドル操縦、制御といった一連の動作を車自体がつかさどるわけで、運転者アシストを目指すメーカーの動きとは、方向性が異なるようだ。

 自動車に限らず、自転車や歩行者の往来も多い公道は、交通の流れも複雑だ。そうした公道上で安全に実証実験を行うために、どんな対策がとられているのか。私たち市民にとっては最も気になるところである。

 大学側では警察庁の定めるガイドラインを守り、自動走行の仕組みを理解した運転手が必ずハンドルに手を添えて、いつでも手動操縦に切り替えられるよう車両を設計している。キャンパスをめぐる当初のルートに、複雑な判断が要求される右折箇所は組み込まれていない。

 信号機のない交差点を渡る自転車の高校生や大学生の動きに、適切に対応できるのか。観光客の往来が徐々に増えつつあるエリアで、歩行者への対応はどうか。自動車の思いがけない動きにどこまで対処できるのか。こうした一つ一つの視点は実証実験の課題そのものだ。

 完全自動運転の安全基準をどうするのか。事故発生時の責任を誰が負うのか。ルールについての議論も今後、必要になるだろう。桐生という地域特性に応じたオーダーメードの自動運転の仕組みを研究する。私たちが求める暮らし方に、自動運転の技術をどう生かすのか。投げかけられた問いでもあるはずだ。

関連記事: