対策を立てて楽しむ

 学校は夏休み。大人も子どもも野外で活動する機会が増える季節だ。野山や水辺に出掛けたら、熱中症に注意しながら、思い切りからだを動かし、のびのび気持ちよくすごしたいもの。

 植物や動物をじっくり観察したり、触れてみるのも楽しい。自分たちが普段どんな環境で暮らしているのか、歴史や文化に限らず、身の回りの自然を五感で知ることも、日々の暮らしを豊かにする方法の一つだ。

 人や物の動きが激しくなり、温暖化が進むにつれ、人を含めた各地域の生態系は着実に変わりつつある。先日のヒアリのように、人目につかぬ場所で事態は動いており、気づいたときには拡大しているのが実情だ。

 昨日も、マダニを介してウイルス感染する感染症SFTS(重症熱性血小板減少症候群)により、西日本の50代の女性が死亡していた事例が、厚生労働省から報告された。この感染症は2012年に国内で初めて患者が確認された新しい感染症で、毎年60人ほどが発症している。

 新しいだけに有効な治療法はまだ確立されておらず、致死率も2割前後と高い。ただ、患者数自体は少なく、東日本ではまだ報告されていない。今回亡くなった女性は、SFTSに感染していたと思われる猫にかまれた経緯があり、動物から人へ、体液を通じた感染が疑われている。通常の感染経緯とは異なるため、注目を集めている。

 しかし、いま注意しなければならないのは、マダニからの直接感染の方。患者こそ出ていないが、県内でもSFTSウイルスを保有するマダニの存在は確認されている。屋外に出た猫や犬がマダニにかまれるケースや、マダニを屋内に運び込むケースは、十分想定の範囲。人がマダニと接触するリスクも身近な動物を通じて増している。

 イノシシやシカなど、多くの野生動物が市街地の近くに現れる時代である。桐生猟友会のメンバーによれば、マダニに覆われたイノシシなどもよく見かけるという。こうした動物たちの移動経路に沿って、マダニの拡散が進んでいるのだと、そう考えて間違いなさそうだ。

 対策としては、山林や草むらに入るときは肌の露出を極力避ける。帰宅したら風呂に入り、ダニにかまれていないか確認してみる。マダニは比較的大きいので視認できる。かまれていたら医療機関を受診する。準備をして臆せず自然を堪能したい。

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