高校生が届ける活力

 サッカーの第96回全国高校選手権で前橋育英が初優勝を果たした。ハードワークを怠らず、あきらめず、粘り強く攻めて守る。強い気持ちが最後にゴールをこじ開ける力となった。

 21回目の出場でつかんだ頂点の座である。2014年、16年と決勝に進みながら、悔し涙を流してきただけに、関係者の喜びはひとしお。OBの故松田直樹選手も喜んでいるはずだ。

 サッカーには明るくない身としても、県内の子どもたちが全国の大舞台で活躍する姿は何よりの励みである。同じ空気を吸い、地場の食材で体をつくり、空っ風に吹かれながら練習を繰り返してきた“同郷人”なのだ。

 育英に限らず、今大会では関東勢の活躍が目についた。決勝で下した流通経大柏は千葉県の強豪校。4強に残った栃木県の矢板中央や8強入りした茨城県の明秀日立なども個性のあるサッカーをしていた。育英が準決勝で破った上田西は、お隣の長野県代表で、こちらも県勢初の快進撃として話題になった。

 一つのチームが強くなるとき、周囲のチームのレベルもまた底上げされる。育英のチーム力アップの背景にも、つねに競い合うライバルたちの底上げがあることは間違いない。

 野球とは異なり、サッカーでは高校の部活動以外に、Jリーグを構成するプロチームが若手を育成するためのクラブチームの存在がある。こうしたクラブチームと高校チームの同レベルどうしが、年間を通じてリーグ戦を展開する仕組みも、今ではしっかり定着している。

 前橋育英は関東の強豪10チームで構成するプリンスリーグ関東の2017年度優勝チームであり、決勝の相手である流通経大柏は2位チームだった。

 前橋育英のライバルである桐生第一のサッカー部にとっても、この全国制覇は大きな励みとなるに違いない。昨年11月の県大会決勝では1点差で敗れており、お互い、つねに意識せざるをえない間柄である。こうした切磋琢磨が、大事な試合での最後の踏ん張りに生きてくるはずだと、限られた高校生スポーツ取材で得た実感でもある。

 桐生第一も来季、プリンスリーグ参戦が決まっている。全国制覇を成し遂げた前橋育英ともども、明るいニュースを届けてくれることを願う。そして、野球をはじめ他の競技にもいい影響を及ぼし、地域を活気づけてくれることを期待している。

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