動くために必要な情報

 京都大学再生可能エネルギー経済学講座の研究者たちが、各電力会社のおもな送電線の空き容量と利用率を調べ、結果をホームページで公表している。

 太陽光、風力、小水力といった再生可能エネルギーの普及が国内で進まない一因に、送電線の空き容量不足が指摘されるが、実態はどうなのか。第三者による検証の試みでもある。

 日本の電力会社は発電し、消費地まで送電し、使いやすい大きさに変電し、工場や商店、各家庭などに配電している。こうした一連のシステムのことを指し、電力系統と呼んでいる。

 電力会社によると、既存の送電線の中には空き容量がゼロの路線もあり、新たに電力事業に参入しようとする事業者があったとしても、系統に接続することはできないというのだ。

 新規参入しようと、せっかく太陽光発電の設備を整えたのに、電力会社から待ったがかかり、事業をストップせざるをえなかったといった実態も聞く。空き容量が不足しているという言い分に反論するのは容易ではない。でも、空き容量ゼロとはいったいどんな状況なのか。

 京大の研究者たちは電力会社などが公表している数値を頼りに、実態を紹介している。

 例えば、容量の大きな送電線のうち、空き容量がゼロと公表された路線の割合は、東京電力で約40%に上るが、これらの路線の平均利用率は約37%にとどまる。実際の容量には6割もの余裕があることになる。他の電力会社についても調べており、総じて送電枠には8割近い空きがあるのが実情のようだ。

 なぜこうも違うのか。電力会社は、すべての発電設備が同時に最大出力となった場合を想定し、万が一条件が重なった場合、新たに受け入れる余裕はないと説明する。つまり理論値。これに対し、研究者は過去、実際に流れた最大電力量をもとに、空き容量を算出している。

 言い分はそれぞれに立つ。ただ、こうした情報が電力会社以外から示されることは重要だ。

 思えば桐生で一般家庭に電気の明かりが灯ったのは1894(明治27)年のこと。日本織物会社の発電機にもう一基を増設し、これを稼働させて電気を生み出した。志ある市民がまちの将来を見据えて動いたわけだ。

 次世代のために、再生可能エネルギーの導入は避けられない課題。そのためにも、適切な情報の開示が不可欠になる。

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