堀マラソンの魅力を探る

 64回目の堀マラソンが今年も2月11日に開かれる。今回の参加申込者は8795人と、前回に比べてやや減少した。それでも依然として人気は高い。

 桐生市内外から大勢の市民ランナーが桐生のスポーツ振興の功労者・堀祐平ゆかりの新川公園に集い、思い思いのファッションやそれぞれのペースで桐生の目抜き通りを駆け抜ける景色は、このまちに有形無形のエネルギーを注入してくれる。立春を過ぎて最初の、春を呼び込む一大行事といった印象である。

 昔、桐生女子高校を発着点としていた頃に参加した記憶がある。当時は声援も少なく、桐生川沿いの肌寒いコースを生真面目に駆け抜けた。それに比べ、いまは日の当たる大通りを堂々と、沿道の観衆からの温かい声に押されて走り抜けるわけで、景色には隔世の感がある。

 昨年、東京マラソンを見学したのだが、ランナーの数もさることながら、沿道を取り巻く観衆の多さ、何より応援するスタイルの多様さに驚かされた。

 がんばれの掛け声や拍手、ハイタッチにとどまらず、用意してきた飲み物や食べ物をランナーに提供したり、一緒に写真撮影を楽しんだり。随所に設けられた応援スペースでは、学生や社会人の有志が生演奏やダンスなどのパフォーマンスを披露し、沿道全体を盛り上げていた。

 走る側だけでなく応援する側にとっても自分を表現し、ともに盛り上がるためのチャンス。そんな意識が強烈に表れているようで、圧倒されてしまった。

 雷門やスカイツリー、東京駅、東京タワーなど、東京の名所を巡りながら走れるマラソン大会として人気なのだが、こうした観衆との自由な交流を楽しみに参加しているランナーもまた、間違いなく多いのだ。

 翻って堀マラソンの魅力とは何か。例えば、桐生天満宮に向けてまっすぐに延びる長い商店街や、重要伝統的建造物群保存地区といった景観の中を駆け抜けるコースはその一つ。建物で季節風が遮られる上、道路が平坦で走りやすいこと、観衆との距離が近いこと、参加賞のТシャツなどもそれぞれ魅力だ。でも、それだけではあるまい。

 東京にはなくて桐生にあるもの。堀マラソンは、それを考えるいいチャンスでもある。普段は車優先の車道側からゆっくりまちを眺めてみる。思いがけない発見があれば、そこに魅力の種が宿っているかもしれない。

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