小6女児自殺訴訟、見舞金全額の支払い命令

 桐生市立新里東小6年だった上村明子さん=当時(12)=が2010年に自殺した問題で、明子さんの母親(47)=栃木市=が独立行政法人日本スポーツ振興センター(東京都港区)に死亡見舞金2800万円の支払いを求めた訴訟の判決が20日、宇都宮地裁で言い渡された。吉田尚弘裁判長は「いじめが主たる原因となって自殺した」と認めた上で、教諭らの対応を検討するまでもなく「学校管理下で発生した事件に起因する死亡」に該当すると判断。同センターに全額を支払うよう命じた。

 同センターは、学校管理下で発生した事故などに対し、医療費や見舞金などの災害共済給付を行う組織。母親側は、明子さんの自殺は学校でのいじめと教諭らの対応の不備が主な原因であり、学校管理下での災害に当たるとして、見舞金の支払いを求めていた。

 これに対しセンター側は、見舞金の支給に必要な「いじめと自殺との相当因果関係」が明子さんのケースでは認められておらず、教諭らの不備は事件に当たらないと主張し、争っていた。

 判決では、争点だった「学校管理下の事件に起因する自殺」かどうかについて、明子さんには家庭での養育環境にも問題があったとしながらも、「(明子さんが)孤独感と絶望感を覚える原因はあくまでいじめ」であり、自殺は「いじめに内在する危険性が現実化したもの」だとして、いじめと自殺との因果関係を認定。教諭らにいじめ防止義務違反があったかどうかを検討するまでもなく、「学校管理下の事件」に起因した自殺であり、支給に該当すると判断した。

 明子さんの自殺をめぐり、遺族は2010年以降、3件の訴訟を提起してきた。

 自殺は学校でのいじめと教諭らの対応の不備が原因だとして、桐生市と県に慰謝料など計3200万円の損害賠償を求めた最初の訴訟は、一審・前橋地裁がいじめと自殺との「事実的因果関係」を認める判決を下し、市・県に450万円の支払いを命じた。控訴審で、市側が“解決金”を支払い、いじめの対応の不備を謝罪することなどを条件に和解が成立した。

 また、元同級生の女子とその母親にいじめへの謝罪を求めた訴訟では、女子が明子さんの遺影に頭を下げたことで「謝罪」の意思を受け入れたとして、慰謝料などの授受はなく和解に至っていた。 

 遺族の代理人弁護士は「一連のいじめと自殺をめぐる訴訟は、今回の見舞金訴訟が最後になる」としている。

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