“侍ジャパン”立役者、荒木重雄さんに聞く(上)

 古くから野球が盛んなことで「球都」の別称を持つ桐生。その特徴を生かし地域活性化につなげようと、桐生市議会が「球都ブランドを生かした野球観光化」を政策提言する。試合と観光を組み合わせたツアー、大会や合宿の誘致を通じた交流人口増を掲げるこの提言に、強い関心を寄せる人がいる。荒木重雄さん(53)だ。野球日本代表「侍ジャパン」の事業戦略とデジタル戦略を担当するなど球界の第一線で活躍してきた視点で、故郷の動きをどう捉えているのか。見解を聞いた。(高橋康之記者)

荒木重雄さん

「侍ジャパン」要職にある荒木さんは球都ブランドを生かした地域活性化に賛同の立場だ(経営する「スポラボ」そばの増上寺で)

 市議会は3月6日に報告会を開く予定だ。

 荒木さんは「地方創生にはアイコン(強力なコンテンツ)が必要。国の成長戦略の一つにスポーツの成長産業化もあり、スポーツを活用した地域創生策に注目が集まっている。そんな中、桐生市には地域資源としての野球とスポーツによる地域活性化、両方の観点でみても他地域に比べて環境がそろっている。提言を非常に興味深く拝見しました」と語る。

 提言は、全国でいち早く野球とまちづくりとを連動させた徳島県阿南市をモデルケースにした。「阿南市の取り組みは素晴らしい」と評価しつつも「正直、本当に残念な気持ち」と明かす。それは「これこそ、桐生が一番にやることだったはず」との思いがあるからだ。

 実は荒木さんは、桐生南高校野球部で同窓の佐瀬守男さん(54)=ホットランド代表取締役=との連名で2009年、野球と地域活性化を結びつけた具体案を取りまとめていた。

 統廃合で使われなくなった中学校の空き校舎をベースボールパークに再生。グラウンドや室内練習場、資料館、青少年向けの野球アカデミー開講、食育、高齢者向けトレーニング講座など「球都・桐生」そのものをブランディングの柱に据え、他のどこにもないスポーツと交流の空間を創造する先進的なものだった。

 「日本には球都と呼ばれる地域が四つあるといわれ、(インターネット上の百科事典)ウィキペディアには、桐生が一番初めに書かれている。日本において“実質的な国技”ともいわれる野球という、ナンバーワンスポーツが最も盛んな場所として、桐生市があるわけです。そのブランドは一朝一夕で築けるわけではない。他の市町村と比べ、圧倒的な優位性を持っている」と力説する。

 先行事例が既に存在する今、「一番ではないわけですから、圧倒的な差別化が必要です」と訴える。

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