被災地に寄り添う、通い続けて200日

 東日本大震災から11日で丸6年。その節目を目前に控えた9日、被災地に計約200日間通い続け、写真撮影を続ける桐生人の初個展が、桐生市錦町三丁目の市勤労福祉会館市民ギャラリーで始まった。元職人ならではの行動力と現場感覚で、後先考えずに始めた被災地訪問から足かけ6年。地震や津波、原発事故による放射能汚染の現場を歩き、被災者と接するうちに自らの思いに気づく。「撮影で被災地に寄り添いたい」。新たな使命感を抱きながら、撮影者は被災地に通い続ける。

 「居ても立ってもいられなかったんさね。70歳目前の当時の自分にできることは何かって。被災地がある程度落ち着いてからって自分に言い聞かせて」

 震災当時を振り返るのは、桐生市東七丁目に住む写真愛好家の大塚信男さん(74)。カメラを手に被災地を初めて訪れたのは、2012年1月のことだった。

 津波被害が深刻な岩手・宮城両県沿岸部から、放射能汚染も加わった福島県沿岸部まで、車中泊1週間の強行軍。2カ月に1度のペースで被災地訪問を重ねた。

 地元住民に積極的に声をかけ、仲良くなって案内してもらうスタイル。話好きの社交的な性格とフットワークの良さで、被災地各地に友人知人の輪が広がった。

 足かけ6年で、被災地に通った回数は計約40回。滞在日数は通算で約200日にも及ぶ計算だ。「考えるより先に体が動いちゃう。性分なんだよね」と笑う。

 桐生駅構内の市民活動推進センターゆいで月1回開かれる、震災避難者と市民の交流サロンにも約2年前から参加。桐生の避難者と顔なじみになり、帰郷時に案内してもらうなど交流も深まっている。

 東小、東中出身の元左官職人。趣味は山登りで、特に東北の山々を愛する。登山中に花や風景を撮り始めた二十数年前から、写真撮影も楽しむようになった。

 被災地写真の個展は今回が初めて。「ふくしま~あの日あの時」と題し、地震、津波、原発事故の放射能汚染、除染、復興に向けた希望をテーマに約50枚を展示する。

 「写真はきれいなだけじゃだめ。被災地に通い続けるうちに、そう強く思うようになった。被災地の苦しさや無念さ、怒り、そして復興に向けた希望や力強さ。そんな思いも伝えられるようになりたい」と語る。

 写真展は9日から13日まで。開館時間は各日とも午前10時から午後5時(最終日のみ同4時)まで。入場無料。問い合わせは大塚さん宅(電0277・43・1506)へ。

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