“幻の自生地”が復活 新里のサクラソウ

 桐生市指定天然記念物の同市新里町のサクラソウ自生地のうち、豪雨による土砂流出などで“幻の自生地”となっていた「赤城のサクラソウ自生地」(同市新里町赤城山)で今春、約20年ぶりにサクラソウの花が咲きそろった。保護活動を続ける新里文化財保護協会の天沼威会長(72)は「消滅の危機にあった自生地が復活してくれて本当にうれしい。見ごろは連休中なので、他の2カ所の自生地と併せて見に来てほしい」と呼びかけている。

 新里のサクラソウ自生地は、合併前の旧新里村が1976年、鏑木川上流部3カ所を天然記念物に指定。このうち最北部の赤城山舟原地区の自生地は96年、県指定天然記念物「新里のサクラソウ群落」となった。

 さらに最南部の板橋地区の自生地周辺は2000年、旧新里村が「サクラソウふれあい公園」を整備。国道353号沿いに駐車場やトイレ、展望台、散策路などを設け、05年の合併で桐生市に引き継がれた。

 しかし、もう1カ所の「赤城のサクラソウ自生地」(県指定天然記念物の自生地の約600メートル南)は、度重なる豪雨による土砂流出などでサクラソウが激減。約20年前にはほとんど姿を消し、“幻の自生地”となっていた。

 その自生地が復活しているのが分かったのは今年4月中旬。定期的に草刈りやパトロールを続けている新里文化財保護協会の会員が、同自生地に再びサクラソウがまとまって生育しているのに気づいたという。

 市道と鏑木川上流部の渓流に挟まれた約1000平方メートルの斜面には現在、道路沿い1カ所、渓流沿い2カ所にそれぞれ約100株ずつ、計300株ほどのサクラソウが、紅紫色のかれんな花を咲かせている。

 天沼会長は「昔は斜面の7割以上が花で埋まるほどだったが、ここ20年は群生が見られず厳しい状況だった。2、3年前から少し増えたかなとは思ったが、ここまで復活してくれるとは思わなかった」と笑顔で語った。

 さらに「サクラソウは新里地区の宝。実質的に2カ所だった自生地が、本来の3カ所に戻ってうれしい。せっかく復活してくれたので、今後さらにサクラソウが育ちやすい環境を整えたい」と意気込んでいる。

 同自生地の場所は、新里町赤城山の国道353号を北上して県道梨木香林線に入り、道なりに約1・5キロ進む。最後の十字路(左折すると県指定天然記念物の自生地方面)を直進し、約500メートル先の右側のあずまや下にある。

 問い合わせは同市立新里公民館(電0277・74・4151)へ。

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