スズメバチの繭、爪の補修材に 桐生の企業、開発に成功

 スズメバチが巣盤の表面につくる繭「ホーネットシルク」を用いた化粧品の開発に桐生市内の企業が成功した。繭のたんぱく質が人間の爪と同じ成分であるのに着目し、爪の補修剤として開発した。絹から抽出したたんぱく質と混合し、天然由来の体にやさしい美容液として市販を計画している。ホーネットシルクを化粧品の原料にしたのは、世界で初めてという。

 商品化したのは染色整理業のアート(相生町二丁目、伊藤久夫社長)。同社は本業の傍ら、シルク抽出成分を活用した化粧品やせっけんの製造販売を手掛けている。研究開発を進める延長で、スズメバチの繭に新しい可能性を見いだした。

 ホーネットシルクのたんぱく質の7割を占めるケラチンは、人の爪の主成分と同じ。たんぱく質の構造が、らせん状のコイルドコイル構造で強度があり、爪の補強や補修用の美容液に向くと考えた。

 農業・食品産業技術総合研究機構の特許技術を活用し、繭から成分を抽出。絹から抽出したセリシンと混合する。無害で人体との親和性が高いのが特長だ。

 これまで化粧品に使われた例がないため、米国の機関にホーネットシルクを表示成分として新規申請。化粧品成分の国際表示名称「INCI(インキ)名」として認められた。

 一般のほか、ネイリストや美容師といった専門職、野球の投手、フリークライミングなど爪を傷めやすいスポーツ選手向けの用途開発を進める。

 伊藤社長は「続けて塗ると効果が出てくる。世の中にない商品として提供したい」と話した。

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