伝統と誇り 受け継いで 創立110周年の桐女

 県立桐生女子高校(西村琢巳校長)の創立110周年記念式典が27日、桐生市市民文化会館シルクホールで挙行された。明治41(1908)年に旧桐生町安楽土村に開校、県内では高崎女子高校に次いで歴史ある女子高校で、全日制通信制あわせて3万人余の卒業生を送り出してきた。2021年には桐生高校と統合するが、式辞も祝辞にも「桐女の伝統と誇りを受け継いで」「ますますの発展を」との願いが込められていた。

 舞台前をオーケストラピットとした管弦楽部の演奏に続いて、生徒、教職員、保護者、同窓会ら関係者、来賓が集うなか、式典が始まった。物故者に黙とうがささげられ、西村校長が式辞。県教委の平田郁美教育委員、記念事業実行委員会の蓮沼元宏委員長、同窓会の鎗田栄子会長があいさつ。来賓として腰塚誠県議、亀山豊文桐生市長、石原条みどり市長、県高校長協会の坂田和文副会長が祝辞を述べた。

 小屋雅義さんら歴代PTA会長9人と岡田孝夫さんら歴代校長4人、前同窓会長の久保田君代さんに感謝状を贈呈。全日制生徒会長の大島璃乃さんと通信制生徒会長の小室和未さんが生徒代表のことばを語り、全員で校歌を斉唱した。

「私の始まり」 渡部玉蘭さんが記念講演

 記念講演の講師は渡部玉蘭さん。1963年ベトナムのサイゴンに生まれたトラン・ゴク・ランさんだ。ベトナム戦争で米軍が撤退し、75年に南ベトナム陥落。小学校の卒業試験中に戒厳令が出た。南北統一後、華僑で洋品店を経営していた両親は財産を没収され、ボートピープルとなる。「難民とは、生きるか死ぬかの問題です」。漁村で小さな木造船に乗って太平洋に出た。幸い救ってくれる船があって、香港へ。そして兄たちが留学していた日本へ。

 ベトナムも中国も日本も漢字の国。そして一生懸命勉強したから相生中に1年4カ月通って、桐女に合格。「国を捨てて出て来たのだから、手に職をつけて生きていくしかない」。桐女時代を恩師たち、勉強法、書道部などで振り返り、「桐生のみなさんによくしていただいて、今がある」と語った。

 聖マリアンナ医科大学を卒業し医師の国家資格を取得。京都の赤十字病院勤務の間には米国で研修を積み、2005年に帰国。滋賀県大津市に08年クリニックを開業、院長として多忙な日々をおくる。「医学は日進月歩、昔の常識は明日の非常識」と渡部さん。

 桐女生たちに向かっては自己決定、自己責任の大切さ、良質なたんぱく質とビタミン、鉄分を取ること、風疹、B型肝炎、子宮頸(けい)がんのワクチン接種などを呼び掛けた。

 そしてナチス強制収容所での体験「夜と霧」を著したフランクルの言葉を引いて「生きる意味を問う必要はない。すべて人は生かされている。生きている限り、生きることが意味なのであり、自分の命を大事に生きてほしい」と語り、「タイム・イズ・マネー」と檄(げき)を飛ばした。

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