どうなる鉾と屋台、本四商店街が破産申請

 桐生祇園祭の鉾(ほこ)と屋台を常設展示する交流会館「あーとほーる鉾座」(桐生市本町四丁目)を所有する桐生本町四丁目商店街振興組合(佐々木裕代表理事、27組合員)は28日までに、前橋地裁桐生支部に自己破産を申請した。鉾座建設時の借入金返済のため、収入源の有料駐車場を売却したことによる経営難などが理由。代理人弁護士によると、負債総額は約3787万円。桐生市内の商店街振興組合の自己破産申請は初めて。

 申請書類などによると、同組合の今年3月末現在の時価評価は、資産が約1593万円で、負債が約3787万円(桐生市からの補助金返還請求額)の債務超過だと主張。今年度の収支予算は収入44万円、支出約153万円で、支払い不能状況だと訴えた。

 さらに仮に鉾座の建物や土地を処分した場合、少なくとも土地約958万円、建物約4161万円の国・県からの補助金返還請求が見込まれると指摘。桐生市からの補助金返還請求の支払いめどが立たず、「破産申し立ての方法しか残されていない」とした。

 同組合は1982年、本町通り拡幅による商店街近代化を目的に、中央商店街から分離独立し設立。2000年に本町四丁目町会(自治会)所有の鉾と屋台を展示する多目的ホールとして鉾座と有料駐車場を整備した。

 総事業費約5億6000万円のうち、約3億3000万円は国・県・市からの補助金を活用。約1億7000万円は高度化資金(県を通じた国からの無利子融資)で借り入れ、残りは銀行からの借り入れなどで賄った。

 借入金は駐車場収益や鉾座使用料などで返済する計画だったが、景気低迷で大幅変更。組合員から募った出資金約4300万円などを充て、銀行からの借入金6600万円は完済したものの、高度化資金は約1100万円の年間返済額を約600万円に減額する繰り延べ返済が続いた。

 国との交渉で16年度以降の繰り延べ返済が難しいと見込んだ組合は16年3月、有料駐車場を民間売却して借入金残額約1億円を完済。しかし有料駐車場という最大の収入源を失ったことで経営はさらに悪化した。

 桐生市の補助金を活用して整備した有料駐車場の売却に伴い、同市は補助金の一部約3787万円の返還を組合に請求した。

 組合は今年6月、市に対して鉾座を無償譲渡する代わりに同返還請求を放棄するよう求める民事調停を桐生簡裁に申し立てたが、10月に不成立に終わったことから、自己破産申請に向けた準備を本格化していた。


「自分たちの力では及ばなかった」─組合代表理事

 同組合の佐々木代表理事は「収入源の柱を失い、組合員減少や高齢化、後継者不足で存続は難しい。このような結果になって申し訳なく思う」と述べた。

 そのうえで「鉾座が有効活用される方策を探ってきたが、自分たちの力では及ばなかった。いい方向に進むことを切に願っている」と語った。

「解体に数百万円必要」

 鉾座に常設展示されているのは、ともに豪華な彫刻で飾られ、明治初期に作られた高さ9・8メートルの鉾と同7メートルの屋台。鉾の最上部に飾られる身長180センチのスサノオノミコトの生(いき)人形は、幕末から明治期に活躍した天才人形師・松本喜三郎作だ。

 桐生には明暦2年(1656年)が起源とされる桐生祇園祭の伝統を受け継ぎ、幕末から昭和初期にかけて造られた屋台6台と鉾2台が現存する。多くは解体されて蔵に納められているが、鉾座は市内で唯一、組み上がった鉾と屋台を同時に見ることができる。

 その鉾と屋台を所有する本町四丁目町会の蓮直孝町会長は「(組合の自己破産申請に)正直言って困惑している。鉾や屋台を展示する場が人手に渡れば、蔵にしまわなければならないが、解体には百万円単位の費用が必要。なんとか続けてほしいが…」と不安がる。

 桐生市の鳥井英雄副市長は「鉾座の機能維持を目指したいが、さまざまなハードルがあるので、今後の対応については慎重に検討したい」としている。

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