ピアニストの下山静香さん、初のエッセー集と10枚目のCDを発刊

 スペイン音楽の専門家として演奏に講演、執筆、ツアー引率にと活躍中のピアニスト下山静香さんが、初のエッセー集と10枚目のCDを発刊した。著書は「裸足(はだし)のピアニスト―スペインで学んだ豊かな表現と生き方―」(ヤマハミュージックエンタテインメント)、CDは今年5月に「スペインで一番美しい村」とされるアルバラシンの教会で収録したもの。ふるさと桐生での恒例クリスマスお茶会も今年はこれを記念、12月11日に開催される。

 スペインと出合って20年、下山さんがクラウドファンディングの成功で敢行してきたプロジェクトで、16世紀に建てられた教会でのコンサートとライブ盤が実現した。

 美しい村の美しい教会の内部空間に、アルベニスやグラナドス、モンポウなどの曲が鳴り響く至福のときを共有したのは、日本からのツアー客だけでなく現地の人たちも。空間全体に満ちる下山さんの心身の響きをとめたCDで、いまは想像して追体験できる。

 著書は2歳半でピアノを始め、ピアニストになることが宿命だった下山さんの幼少時の思い出からつづられている。「阿修羅の母、菩薩の父」の章など、ご両親を知る桐生の読者にはなお興味がわくところだ。東京へレッスンに通った小・中学生時代、そして桐朋の高校に進学して一人暮らしに。演劇好きもあって、進路に悩みつつもデビューリサイタル。

 しかし20代も最後になって「自分を表現できていない」と気付き、「このままではだめだ、日本を出よう」。本来の自分を取り戻すべく選んだ先がスペイン。文化庁在外研修員に合格した下山さんの行動力は、正式期間を待たずにマドリードに飛ばせた。

 そして半年間は語学学校に通いながら現地の生活に慣れていく。音楽修業の様子もリアルに描き出された。スペイン流の生き方とは「今、この瞬間」を大事にすること。そして豊かな感情表現と品性が背反しないこと。それは音楽にも通ずる。下山さんが裸足で演奏する理由も、端的には「自由」を求めるからだという。

 著書の後半は「私を動かしている言葉、私を変えた言葉」。ピアニストや作曲家やスペイン舞踊家ら、出会った人々とのていねいなかかわりを知ることができ、これから表現者を目指そうとする人たちにも勇気を与える言葉が満載されている。

シロキヤ書店、近江屋書店で扱っている。本体1800円。

 クリスマスお茶会は11日午後2時から、桐生市市民文化会館国際会議室で。ゲストはバンドネオン奏者の仁詩(ひとし)さん。後援会グラシア会員2000円、会員外2300円。

 申し込みは下山さん(電0277・22・7321)へ。

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