渡良瀬川を全国モデルに、ドローン使ったカワウ対策に期待高まる

 全国の河川で深刻な漁業被害をもたらしているカワウ対策の新たな手段として、小型無人飛行機ドローンが注目されている。水産庁は今年度から、ドローンを使ったカワウ対策の研究開発に乗り出し、その最初の実験場として、桐生、みどり両市を流れる渡良瀬川など2カ所を選定した。同川では現在、空から安全にカワウの追い払いや繁殖抑制などを行う実証実験が行われており、ここで開発された技術が今後のカワウ対策のモデルケースになる。

 水産庁は今年度からの3カ年で、主にドローンを使った効果的・効率的なカワウ対策の確立をめざす「先端技術を活用したカワウ被害対策開発事業」を実施。水産研究・教育機構中央水産研究所(横浜市)と長岡技術科学大(新潟県)に委託し、初年度は渡良瀬川と鬼怒川(栃木県)を舞台に選んだ。

 同事業の初の現地視察が先月、渡良瀬川で行われ、同庁や群馬、栃木両県、全国内水面漁業協同組合連合会の関係者ら約30人が桐生市に集まった。

 中央水研の坪井潤一主任研究員(38)や、長岡技科大の山本麻希准教授(46)=海鳥生態学=ら、カワウ対策の第一人者が勢ぞろいする中、桐生に住み込みで実験を行っている同大大学院生の三浦遼大さん(22)がドローンを操縦。自動操縦アプリであらかじめ設定したコースにドローンを飛ばして川を監視したり、銃声音を入れたスピーカーをドローンにつけて飛ばし、カワウを追い払う方法などを実際に見せた。

 坪井研究員らは、ドローンを使ってコロニー(営巣地)の樹間にビニールテープを張る封じ込めや、粒状のドライアイスを上空からまいて卵のふ化を防ぐ繁殖抑制に取り組んでおり、こうした方法を確立させて全国に普及したい考えだ。

 水産庁栽培養殖課の鈴木信一課長補佐(42)は「実験を通じ、ドローンによるカワウ対策の安全マニュアルを策定し、全国の漁協で行えるようにしたい」と期待する。

 両毛漁協の中島組合長(45)は「カワウは追い払っても別の場所に移動する。釣り場として魚を守りたい場所と、カワウの採餌場所を分け、計画的に川を管理するゾーニングの考え方が重要」とし、繁殖を抑制しつつ、追い払う場所と追い払わない場所を設定する必要性を説く。

県目標は3割減

 県によると、カワウがアユやヤマメなどを捕食してしまう漁業被害は県内で1億8800万円(2015年度)に上る。県はカワウ適正管理計画(15~18年度)を策定し、個体数を現在の3割減にする目標を掲げている。

 県内最大級のコロニーがある、みどり市大間々町高津戸の渡良瀬川では、2000年以降から約600羽のカワウが確認されており、両毛漁協などは15年11月、ドローンでコロニーにテープを張る全国初の試みを実施。16年度からは専門業者がエアライフルによる射撃捕獲も行い、個体数抑制を図っている。

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