桐生市出身・大出由紀子さん、毎日ファッション大賞受賞

 桐生市出身でファッションブランド「HYKE(ハイク)」デザイナーの大出由紀子さん(48)が夫の吉原秀明さん(48)とともに、ファッション界で優れた功績のある人や団体を顕彰する第35回毎日ファッション大賞(毎日新聞社主催)に輝いた。折しも、前身のブランド「green(グリーン)」の立ち上げから数えて20年の節目。これからもいたずらに規模を追うことなく、長く着続けられる服作りを貫く心積もりだ。

 HYKEの服は独創的でありながらも、シンプルさと普遍性を兼ね備えるのが特長。吉原さんがブランドとシーズンごとの方向性を決め、大出さんはデザインや工場との打ち合わせなど、ものづくり全般を担っている。

 実家が縫製工場だったから、物心ついたときから服作りは身近にあった。唯一触れることを許された予備のミシンを操り、中学生のころには服や小物を手作りしていた。「現場で仕事をするのは、ごはんや空気と同じでしっくりくる。生活の中に染みついているんです」と笑う。

 古着店からオリジナルブランドへと転じたのは1998年。「古着は一点物。いいものは売れてすぐになくなる。いいものばかり探し続けるよりも、いいものを作って着てもらった方が喜ばれるのでは」と考えたからだ。

はじめの縫製は実家の工場で

 はじめの縫製は実家に頼んだ。「母や親戚のおばちゃんたちに怒られながら、工場の仕事を教えられた」と懐かしむ。良い工場と悪い工場の見分け方など、そのときの教えを心に刻み、今も仕事をしているのだと明かす。

 多忙を極めたgreen時代との違いは仕事に費やす時間だけで、プロとして「お金を出してくれた人に満足していただくために着続けられる服を作る」姿勢は変わらない。「丁寧な服作りに真摯(しんし)に向き合っていきたい」と揺るぎない。

「桐生で過ごした から今がある」

 「活気があり、恵まれた時代の桐生で多感な中高生のころを過ごしたから今がある。大好きだし、何かをしたい思いが強い。できることがあれば貢献したいですね」と故郷への愛着を語る大出さん。自営業の家に育った思い出に触れながら、「母や親戚のおばちゃんたちのようにできるだけ長く仕事を続け、楽しく生きていきたい」と、先を見据えている。

大出由紀子さん

変わらぬものを持ち続けながら服作りに打ち込んできた大出さん(東京・中目黒のボウルス本社で)

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