吾妻山登頂1万回 足かけ30年で金字塔

桐生市仲町二丁目の元眼鏡店主・香取逸夫さん(76)が22日朝、同市宮本町の吾妻山(481メートル)に1万回目の登頂を果たした。1984年から記 録をつけ始めて以来30年間、ほぼ毎日登り続けて打ち立てた金字塔。当日の山頂では、ふだんから登山道で行き交っている愛好家仲間らがノンアルコールビー ルで乾杯し、万歳三唱。“ミスター吾妻山”の偉業達成を祝った。

香取逸夫さん(76)は千葉県佐原市(現香取市)生まれ。20歳のころ、おじが桐生市本町五丁目に開いた眼鏡店の手伝いに呼ばれ定住。1988年に本町三丁目で独立開業し、23年間経営した。

吾妻山への“第一歩”は81年7月。尾瀬に行くのでトレーニングしたいという妻に付き添ったのが最初。だが「初めはひざが痛くて途中で引き返した」。それでも体力づくりにと少しずつ距離を伸ばし、いつしか登頂するのが日課になった。

84年9月から書き続ける「吾妻山ノート」には、日付と歩数、山頂の気温、行き会った人などが記録されている。自転車で吾妻公園の駐車場に乗りつけ、公園わきを通って登ると、1往復でほぼ1万歩になる。

年間400回前後のペースで登り続け、ちょうど65歳の誕生日の2002年4月17日に5000回に達すると、自身も所属する「吾妻山友の会」(柳沼憲会長)のメンバーが寄せ書きして祝った。

友の会に参加し 清掃や捜索にも

1日の最多登頂記録は5回。「下りるたびに仲間と会い、誘われるままに登っちゃって」。友の会の一員として登山道の清掃にも参加するほか、行方不明者の捜索に関わったこともある。

10年末に店を閉めた後は朝と午後の1日2回にペースを上げ、さらに山頂の先の女山(女吾妻山、460メートル)まで足を延ばす。

昨年、山頂近くの岩場「第2男坂」の下りで頭から転落。「ツツジの枝につかまって止まった。枝がなかったら今頃は天国でしょうね」と、あわや大事故のピンチもあった。

「半端じゃない」 “別格”の登頂数

自然豊かな桐生のシンボルとして親しまれている吾妻山には、登頂数千回を誇る愛好家も少なくない。だが1万回はやはり“別格”で、自身も22日朝で 4961回目という堀政夫さん(80)=桐生市東久方町=は「きちんと証拠があるのは香取さんだけでは」。4000回近い山本徳一さん(65)=同市相生 町=も「1万回は半端じゃない」と称賛を惜しまない。

しかも香取さん自身「記録をつける前(1981~84年)に280回ぐらい登ったから、実は昨年末か今年の正月には1万回を超えているんです」と苦笑。本人は大記録とはまったく思っていない。

「吾妻山は私の遊歩道みたいなもの。好きだから続けられたんでしょうね」と、どこまでも謙虚だが、1万回目の山頂では「こんなに来るとは思わなかった。皆さんによくしていただいてうれしい」と、仲間に囲まれて照れくさそうにほほえんだ。

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