修復第1号が着工 まず矢野園店蔵

 織物業で栄え形成された桐生新町を後世に受け継ぐための修復事業が、地区の象徴のひとつである土蔵から始まった。昨年7月に重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された桐生市本町一、二丁目と天満宮地区の保存計画に基づくもので、第1号は矢野園店蔵と当主棟。今年度は計7件で修復工事が行われる。

 桐生新町重伝建は約400年前の町立て敷地割りが残り、近代以降の織物業の発展とともに店舗、事務所、蔵、ノコギリ屋根工場、住宅、長屋、防火壁、稲荷社など多種多彩な建造物が立ち並ぶ。建物は約400棟で、その6割が昭和初期までの建造。老朽化に加えて東日本大震災の被害も大きかった。

 修復工事は伝統的建造物特定物件を対象に、8割補助(上限800万円)で行われる。初年度は桐生市重要文化財に指定されている矢野園のほか、登録文化財の曽我家住宅土蔵、本町二丁目の屋台蔵など7件が対象となり、来年度も6件が予定されている。

 矢野園土蔵は重伝建の入り口で本町通りに面し、さまざまな文化活動の拠点である有鄰館(旧矢野蔵群)と一体の関係にあるだけに、修復第1号にふさわしい。明治23(1890)年以前の建造で、今回は北側壁面の波板を外して漆喰(しっくい)塗りの白壁に直し、塀や奥に続く当主棟の下見板も張り替える。

 特定物件は現状維持もしくは復原のための修理に限られ、工事内容や手法は文化庁や保存審議会委員の大学教授、建築士らの指導を受けて決まる。桐生市重伝建まちづくり課によると「今年度は震災被害の修理が9割ですね」。歴史的建造物の保存のために重要な事業だ。

 矢野園の中島淑充店長は「長い時間、風雨に耐え、震災にも持ちこたえた建物。このなかで営業していくには修理は欠かせないし、白壁に戻すことはかねての念願でした。ここが第1号ということで、これからの手本になればいいですね」と話している。

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