重伝建修復工事 第1号終わる

 今年度からはじまった桐生新町重要伝統的建造物群保存地区の修復事業で、第1号となった矢野園=桐生市本町二丁目、桐生市指定重要文化財=の店蔵と当主棟の修復工事が終わった。土蔵は北側の波板がはずされ白漆喰(しっくい)が塗り直されて、明治初期建造当時の瀟洒(しょうしゃ)な外観に。続く当主棟は傷みの激しかった土台を取り替え、外壁下見板を張り直すなどの保存工事が行われた。同園では難工事の経過をパネル展示、23、24日には記念セールを行う。

 桐生新町重伝建内の建物は約400棟で、うち6割が幕末から昭和初期までの建造。老朽化に加えて東日本大震災の被害も大きく、桐生市では文化庁や重伝建保存審議会委員の大学教授、建築士らの指導も受けて、今年度は伝統的建造物特定物件7件の復原修理工事を実施する。

 第1号の矢野園は9月から修復工事に着手。各地の古民家再生に実績があり、すでに大正5(1916)年建造の木造店舗部分の保存・改装工事を手掛けた建築設計事務所「吉左右」の一柳宿さん(桐生市仲町一丁目)が担当した。

 一柳さんによると、店蔵の外壁に波トタンが張られたのは昭和43(1968)年ごろ。その際に漆喰を盛り上げて雨よけとする部分が削ぎとられており、トタンをはぐと漆喰ばかりか土壁も落ちていた。下塗りをし中塗りして白漆喰で仕上げ、復原した。

 また当主棟は公開を前に改装したものの、構造に手を加えるのは明治初期の建造以来、約140年ぶり。指定文化財として既存の材を極力再利用するため、長年風雨にさらされた下見板を慎重に外し、使えるものは上部に。驚いたのは土台で、くいの雨水が入って傷みが激しく、クリの木で交換した。「現時点で発見できてよかった」と一柳さん。

 さらに「ファッションウイーク前に足場を外し、えびす講までに工事が終わってよかった」とも。多目的施設の有鄰館と一体になった建物で、各種イベントや季節の行事にもにぎわう場所だからだ。

 パネル展示に加え、23、24日には同店で記念セールを実施。茶、米、菓子など1割引きのほか、メーカー協賛特売品コーナー、新米もちつき大会で祝う。

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