修復進む重伝建地区 建築当初に近い姿に

 晴天が戻って雪解けがすすむなか、本町通りをはさむ桐生新町重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)で明治、大正期建造の蔵などの修理が行われている。文化庁の指導を受けて始まった修復事業で、今年度は7件を修理。そのうち残る3件の工事がいま、同時進行している。来年度は9件が修理される予定で、老朽化に加えて東日本大震災の被害も大きかった木造建造物群が、建築当初に近い姿によみがえっていく。

 桐生市本町一・二丁目と天満宮地区の重伝建には約400棟の建物があり、そのうち約6割が幕末から昭和初期までの建造。所有者の同意を得た伝統的建造物特定物件は173棟あり、希望者を募って順次、修復工事を進めることになっている。初年度は桐生市指定重要文化財の矢野園店蔵と当主棟を第1号として着手し、残る3件が本町一丁目の小島邸(明治前期)と曽我邸土蔵(大正2=1913=年)、屋台蔵(明治21=1888=年)だ。

 この3件の設計監理は伝統工法を得意とする地元の空間工房、大内栄さん(57)=本町二丁目=で、市内の工務店、材木店、左官、瓦職人らが施工にあたっている。屋根と外壁の修理が主だが、外した瓦や木材も選別して使えるものはなるべく再利用する。一部では後世に塗られたモルタルをはがしたところ、壁土が崩れてしまい、竹小舞を縄で編んで土を塗り重ねていく作業も。この壁は来年度も継続して漆喰(しっくい)塗りに復元することになっている。

 桐生市重伝建まちづくり課によると、来年度は住宅兼店舗の「大風呂敷」(明治21年)など計9件で屋根や外壁の修理、下屋の補修などを行う計画。地区内には他にも傷みの目立つ住宅や蔵もあるが、補助金申請で順番待ちのためではなく、申し出のあった建造物はすべて修復対象になっているという。

 大内さんは建物の保存とともにその“家の記憶”も残そうと、家人から聞き取りをして後世に伝える取り組みも行う。高齢化が進む地区だけに「だれが住むか。後継者、次の世代のことも考えなければ」と将来を見据えている。

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