花形役者、猿之助に大拍手 ながめ歌舞伎

 文化遺産を生かした地域活性化事業の芸能舞台「ながめ歌舞伎」が7日、ながめ余興場で開催された。当代の花形役者、市川猿之助さんが出演するとあってチケット完売、入り口には開場5時間前から列ができ、県外からの観客も多く、猿之助さんが舞台に登場すると興奮したような大拍手が起こった。

 群馬県文化遺産魅力発信事業実行委員会の主催。1937(昭和12)年建造の木造2階建て劇場で、回り舞台や花道、2階席もあり、玄関は歌舞伎座を模したといわれる余興場(みどり市指定重要文化財)を舞台に、地元に伝わる無形文化財と日本の伝統芸能に親しむ機会とした。

 第1部は郷土芸能で、みなかみ町子ども歌舞伎の「吉野山」はひたむきでかわいらしい小学生たちの演技に大喝采。大間々祇園囃子が「おうま、きりん、かんだばやし」、笠懸の横町太々神楽は「扇之剣之舞」を披露した。

 第2部に猿之助さんが登場。初めて訪れたこの余興場を見学して「地元のみなさまの娯楽施設として活躍してきた」歴史を実感したといい、回り舞台が手動と電動で回ることに「四国の金比羅にもない、進んだ装置」と評して笑いを誘った。

 金丸座のほか、熊本の八千代座、愛媛の内子座、秋田の庚楽館など歴史ある芝居小屋でも公演する。「実は大変やりにくい。当時の日本人の身長にあわせた造りなので、頭が天井につかえる。冬は寒く、夏暑い」とか。

 「体調管理も芸の内」「秋にスーパー歌舞伎でワンピースをやります。予想がつかないから、おもしろい」

 「伝統芸能は人対人。相対しなければ伝わらない、もろいもの。これからを生きる子どもたちがやってくれるのはうれしい。忠信は私もやりましたが、袖で見ていて純真で、こうやって残っていくんだと実感しました」「演劇は生きる力になる。役者は死ぬまで休みなく、やらねばならない」

 そして「桐生にはNHKのロケで来たことがある」といい、ソースカツ丼が印象的だそうだ。「国定忠治の赤城山、お酒も赤城山ですね」と笑顔を見せた。

 舞踊は得意の「猿翁十種の内 独楽」。独楽(こま)売りの曲芸や江戸風俗を楽しませるうち、自ら独楽となって回り続ける、重力を感じさせない卓越した技と豊かな描写に、満場の観客が大興奮していた。

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